16年ぶりの甲子園を目指す名門・静岡商が、第5シードの常葉大橘を2-0で下し、4回戦に駒を進めた。エース右腕の大橋建仁(けんと、3年)が、6安打6奪三振1四球で完封。好投でチームを勝利に導いた。3回戦の残り8試合は、21日に県内4球場で行われる。

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最終回2死。静岡商のエース大橋がギアを上げた。「最後は三振を取って気持ちよく終わろうと思った。狙いました」。渾身(こんしん)の直球を投じると、打者のバットが空を切った。6安打完封。「今日は大橋に尽きる」と曲田雄三監督(38)も最敬礼の好投で、シード校撃破の立役者になった。

安定感抜群だった。3者凡退は3度。毎回のように走者を出したが、動じなかった。最速141キロの直球にスライダー、チェンジアップを織り交ぜ、的を絞らせない。「打たせて取ることもできたし、ピンチでは狙って三振も取れた」。1度も三塁を踏ませず、2点のリードを守り抜いた。

苦難を力に変えた。5~6月にかけ、右肘痛で1カ月ほど離脱した。それでも、走り込みや筋トレで下半身を強化。体重は2キロ増え、直球の平均球速も140キロに伸びたという。「フォームも安定してきた」。進化の107球だった。

偉大な先輩の背中を追う。20年に2学年上の高田琢登投手(19)が、プロ野球DeNA入り。大橋は「大きな存在だった。自分もチームを引っ張らないといけない。追いつけるように『0』で抑えていきたい」と静岡東との4回戦(22日)も見据え、決意。名門復活に向けて、右腕を振り続ける。【前田和哉】