今春、選抜高校野球で準優勝した近江が甲西に5回コールド勝ち。この日は右翼で出場したプロ注目の山田陽翔投手(3年)の本塁打も飛び出し、甲西に大差をつけて勝利した。

2回1死満塁の場面で山田が力を発揮した。冷静に球を見定めて、懐にまっすぐ入ったところをフルスイング。打球は大きく左翼席に到達し、球場はどっと沸いた。

エースは「ほっとした。なんとか1本出たので、今日の試合では4番としての仕事ができたのかな」と満笑みをこぼす。初戦ではノーヒットと苦しんだが、ここぞという場面で実力を見せつけた。

「この前はいつ打ったかいつ打ったか覚えてないです」。久しぶりの本塁打を喜んだのは山田だけではない。多賀章仁監督(62)も心を打たれていた。

「出なくても4番やってことで(代えなかった)。まったく打撃で結果を残せずに苦しんでいたのは痛いほど分かる。(今日は)いいところで本領を発揮してくれた」と声を詰まらせながら話した。

灯がともったエースを中心に、100人を超える野球部員全員で全国制覇を目指す。