1万9000人の観客で埋まった横浜スタジアムが熱く燃えた。横浜が1-0で東海大相模にサヨナラ勝ちし、神奈川を代表する2校による頂上決戦を制した。

昨秋は新型コロナウイルス感染でセンバツ出場の道が絶たれるなど困難を乗り越え、2年連続20回目の夏の甲子園出場を決めた。

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0-0の9回裏2死二塁。横浜の6番萩宗久外野手(2年)が右前打を放つと、球場のボルテージは最高潮に達した。二塁走者の岸本一心外野手(3年)が本塁に生還し、サヨナラ勝ち。ホーム付近で歓喜の輪をつくった。ナインが喜びを爆発させる横で、村田浩明監督(36)は「守備を徹底してやった。結束力が形になった」と号泣した。

昨秋はコロナで県大会を途中棄権し、センバツの道が絶たれた。玉城陽希主将(3年)は、今夏の抱負を「監督を男にしたい。自分の人生だけでなく、お世話になった監督の人生もかかっていると思う」と真っすぐな目で話していた。まさに有言実行で激戦区を制した。

今年の3年生は、前監督の辞任により指揮官が空白のまま入学した年代だ。それだけに村田監督も結果にこだわった。この日は朝4時に起き、パソコンに向かった。71人の部員全員へ、思いを込めた手紙を書いた。「ここまで来たら勝ちたいという執念が強い方が勝つんだ」。ナインの気持ちは引き締まり、勝利につながった。村田監督は「正直、優勝できるとは思っていなかった。その中で勝てたのは指導者人生の中で価値があることだと思う」と感極まった。

2年生左腕の杉山は、9回をわずか2安打に抑えた。「今日は玉城のリードが光った。あれが全てでした。このチームは玉城が中心。欠けたらチームにならない」と、扇の要の活躍をたたえた。連覇の夢を実現した玉城は「監督さんの涙は込み上げてくるものがあった。監督を男に出来て良かった」と話した。

入学以来、いくつもの壁を乗り越えてきた。その度にチームの結束力が強まり、絆が深まった。杉山は「投げてチームを勝たせたい」と意気込んだ。名門横浜が甲子園で暴れる。【阿部泰斉】