三重が2年連続14度目の優勝を飾った。先発の上山颯太投手(3年)はうれし泣きした。「ずっとケガばかりで苦しかった。最後に、いい形で終われてうれしかった」。走者は背負うが140キロを超す直球にスライダー、チェンジアップで粘った。8回まで1失点。11-1の9回途中で背番号1の谷公希投手(3年)と交代。津商の猛追を許したが、勝ち切った。

2年生だった昨夏の甲子園で樟南(鹿児島)を完封して名を売った。だが右肩痛を発症。秋は不調で、今年に入ると全く投げられなかった。落胆するような周囲の声がつらかったという。支えてくれたのは家族。治療のため父は県内だけでなく遠くは大阪まで車で10往復もしてくれた。「『治るならどこまでも連れて行く』と仕事の合間に連れて行ってくれた。甲子園で活躍して恩返ししたい」。

今大会直前にようやく肩が復調。谷らとの継投策で勝ち上がってきたが、決勝で復帰後最長の8回0/3を投げた。背番号9のエースの意地だった。【柏原誠】

◆三重 1961年(昭36)創立の私立校。特進コース、進学コースがある。生徒数1721人(女子841人)。野球部も61年創部。部員数93人(うちマネジャー4人)。甲子園は春13度、夏は14度目。69年春に優勝、14年夏に準優勝。主なOBは歌手の西野カナ、ロッテ加藤匠馬ら。松阪市久保町1232。中谷文弘校長。