第104回全国高校野球選手権大会が6日、甲子園で開幕する。3年ぶりに一般客を入れて開催される。開会式で選手宣誓の大役を任される横浜(神奈川)の玉城陽希(はるき)主将(3年)は、5日のリハーサルで堂々とマイクの前に立った。新型コロナの影響を大きく受けた高校3年生の思い、そして横浜の伝統を胸に、言葉をつむぐ。

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新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された球児たちの最後の甲子園が、始まる。全選手の行進が行われた開会式のリハーサルで、玉城主将は甲子園で野球ができる喜び、チームメートや家族への感謝を言葉に込めた。

現3年生は、高校入学が緊急事態宣言で遅れた世代。思い描いていた高校生活も、難しかった。陽性者が発生すると寮が解散になり、県外のチームと練習試合ができないなど、制約が多かった。

横浜も昨秋の神奈川県秋季大会を寮でのクラスター発生で辞退し、センバツへの道が断たれた。玉城主将は「コロナの影響を踏まえながら高校野球生活がスタートして、思うように野球ができない日々が続いた。普通ではない状況で野球ができる喜びを味わいましたし、難しい状況でやってきたという思いは選手宣誓で伝えたい」と明かす。言葉は、チームメートや村田監督らと相談して決めた。

「YOKOHAMA」の伝統を受け継ぐ。同校の主将が選手宣誓を行うのは、春夏を通じて98年の第80回選手権大会以来2回目となる。同年はエース松坂を擁して春夏連覇を達成した。「98年以来の優勝を目指して、出るからにはてっぺんを目指す。横浜高校という看板を背負っている以上、負けは許されないと思う。一戦必勝で勝ち抜いて、優勝できたら」と力を込めた。

今年の地方大会は、各地で波乱があった。昨夏準優勝の智弁学園をはじめ、神村学園、広陵などの強豪が地方大会で敗退。センバツ4強の浦和学院、国学院久我山も春夏連続出場はできなかった。厳しい地方大会を制し、そしてコロナとの闘いにも屈しなかった球児の代表として、玉城主将がマイクの前に立つ。【保坂恭子】

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