聖光学院(福島)が2年生コンビの2発で日大三(西東京)に4-2と逆転勝ちし、夏の甲子園20勝目を挙げた。

これで東北勢は4戦4勝とした。5回に高中一樹内野手(2年)が高校通算1号となる逆転2ラン。8回には三好元気外野手(2年)がソロ本塁打でリードを広げた。14大会連続出場を目指した昨夏は、まさかの県大会準々決勝敗退。現チームとなり、昨秋は県優勝、東北大会準優勝。今春はセンバツに出場し、県と東北大会で優勝と着実に力をつけてきた。14日の2回戦では横浜(神奈川)と激突する。。

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聖光学院が甲子園に勝利の校歌をとどろかせた。17年以来5年ぶりの夏1勝。高中、三好の2年生コンビが全打点を挙げ、先発・小林剛介投手(3年)が4回1/3を2失点、2番手・佐山未来投手(3年)が4回2/3を無失点で試合を作った。斎藤智也監督(59)は「点数の取り方はうちらしくないというか、2年生2人が本塁打を打ち、まさか試合を決めると思わなかった。意外な下級生の援護射撃が大きかった」とうなずいた。

「逆転の聖光」を体現したのは伏兵の2番高中だ。1点を追う5回2死二塁、2ボールから真ん中高めの133キロ直球を振り抜いた。打球は浜風に乗り、左翼席への逆転2ランとなった。練習試合を含めて本塁打はゼロ。「自分が一番びっくりしています」。生還すると、赤堀颯内野手(3年)、安田淳平外野手(3年)と抱き合って歓喜。今夏県大会は打率2割2分2厘と低迷も、本領を発揮した。

4番三好も続いた。1点リードの8回1死走者なし、1ボールから114キロスライダーを捉え、左翼席にソロ本塁打。過去3打席はすべて三ゴロ(1打点)で「何も考えずにフラットな状態で打席に入り、結果が出たのですごく良かった」。5回1死三塁の守備では、右飛で好返球。タッチアップを狙った走者の本塁生還を阻止し、その裏の逆転劇につなげた。

現チーム発足時は軸になりそうな選手が佐山、山浅龍之介捕手(3年)のバッテリーしかおらず、近年では「最弱」という評価だった。斎藤監督と横山博英部長(52)は「これはまずい」と頭を悩ませ、同部長は選手にこう言い続けた。

「残念だけどお前たちに力はない。力がないチームがどうやって勝つのか。逆転で勝つしかない。先制、中押し、ダメ押しの戦い方なんてできない。圧倒する力はない。終盤に逆転できるチームにならないと」

磨いてきたスタイルが実を結んだ。優勝した今春の東北大会は4試合中3試合が逆転。その流れで、甲子園でもお決まりの勝ち方で初戦突破した。次戦の相手は名門横浜。春夏甲子園で神奈川勢に5戦全敗と分が悪いが、どんな逆境もはね返していく。【山田愛斗】

○…佐山が好守備に支えられて好投した。1-2の5回1死三塁から2番手で救援登板し、右飛から三好の好返球で本塁封殺。以降も140キロ台の直球や変化球を丁寧に投じ、打たせて取る投球で強豪に流れを渡さなかった。「好プレーが多かったのですごく助けられた」とチームメートに感謝した。2回戦進出を決め「相手がどこでも自分たちがやる野球は変わらない」と、横浜(神奈川)相手にも、冷静に右腕を振るつもりだ。

◆逆転Vアーチ 聖光学院・高中が逆転本塁打。福島県勢の逆転本塁打は84年近内通泰(学法石川)が海星戦で打って以来2本目。逆転弾を打って勝ったのは県勢初。

◆2年生アベック 福島県勢で同じチームの2年生2人が本塁打は初めて。

◆夏20勝 聖光学院は夏の甲子園20勝目。東北6県で夏20勝以上は仙台育英36勝、東北28勝、八戸学院光星24勝に次ぎ4校目。

◆斎藤監督夏20勝 聖光学院・斎藤監督は夏20勝目(春は5勝)。東北6県の監督で夏20勝は佐々木順一朗監督(現学法石川)が仙台育英時代に22勝して以来2人目。

◆東北勢4連勝 東北勢が開幕から4連勝したのは、13年(5連勝)14年(4連勝)15年(4連勝)21年(4連勝)に次ぎ5度目。

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