奪三振王の近江山田陽翔(はると)投手(3年)か、出塁率8割男の高松商浅野翔吾外野手(3年)か。データを比べても「矛」と「盾」の対決は予想しにくい。

山田は今大会3試合で34奪三振。2位の宮原明弥(海星=18個)に16個差をつける断トツで、2桁奪三振を2度マークしている。継投策が目立つ今大会で、2桁奪三振を記録したのは山田1人しかいない。甲子園通算2桁奪三振6度は、74年夏の金属バット採用後、最多の島袋洋奨(興南=7度)にあと1度で並ぶ。通算98奪三振は18、19年奥川恭伸(星稜=100個)以来、金属バット後7人目となる100個の大台も見えている。

一方の浅野は、昨夏から甲子園通算19打席で三振ゼロだ。19打席中、2ストライクに追い込まれたのが8打席あるが、佐久長聖戦の2本塁打を含む6打数4安打、2四球と、三振しないどころか、むしろ強い。いつも「全打席出塁」を目標に掲げ、今大会もここまで出塁率8割をキープする。

浅野の出塁は得点に絡む。九州国際大付戦は2-1のロースコアだったが、高松商の2得点はいずれも浅野が出塁した1回と4回だった。塁に出せば50メートル走5秒9の快足は盗塁があり、一塁からでも長打で生還できる。バットに当てれば内野安打もあり、理想は三振だが…。

互いにチームとしても負けられない。近江はセンバツ準優勝の雪辱だけでなく、滋賀県勢として春夏を通じ初Vを狙う。高松商は、水原茂らの1927年以来95年ぶりの夏Vへあと3勝。07年佐賀北以来遠ざかる公立Vへ、公立最後のとりでを守れるか。【織田健途】