夏史上初となった準決勝での「東北勢対決」。仙台育英(宮城)が、聖光学院(福島)に18-4で大勝。東北勢初の“夏40勝”に到達し、7年ぶり3度目の決勝進出と東北勢初優勝に「王手」をかけた。聖光学院は先発左腕、小林剛介が1回0/3を6安打5失点。エース佐山未来(ともに3年)は5回130球の力投も、9安打7四死球10失点と打ち込まれ、悲願の日本一に届かなかった。

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掲げた「日本一」への夏が幕を閉じた。9回2死一、二塁。点差は14点。4番三好元気外野手(2年)が打席に入った。「四球でも…。何でも良いからつなぐことだけを意識した」。3球で追い込まれるも、ファウルで3球粘る。最後は142キロの高め内角直球にバットが空を切った。

斎藤智也監督(59)は、「完敗でした。無念です」と振り返り、「今まで越えることのできなかった歴史(甲子園8強の壁)を越えられた。選手たちの頑張りに感謝し、褒めてあげたいです」とねぎらった。

「必勝の2枚看板」が、仙台育英の強力打線につかまった。2回、先発の小林剛が先頭の四球を含む4連打を浴び3点を献上。同無死二、三塁から登板した佐山も流れを断ち切ることはできなかった。3安打を許し、失策も絡んで一挙11点を奪われた。佐山は「流れを止めきることができなかった。勝負が決まってしまった」と肩を落とした。

1歩ずつ、ここまではい上がってきた。「力のない世代」。新チーム始動時はそう呼ばれた。赤堀颯主将(3年)を中心に現実を受け止め、ミーティングを何度も繰り返した。本音でぶつかり合い、結束力を高めてきた。斎藤監督は「うさぎと亀じゃないけど、亀さんみたいな選手ばかり。力がないのを認めて、コツコツとひたむきに努力する選手しかいない」と言った。積み重ねてきた歩みが、初の4強入りへ躍進させた。

昨秋から背番号「1」を背負い続けた佐山は「野手の選手、同じ投手陣、控え選手が支えてくれた。仲間には感謝しかない」と語り、込み上げる涙を抑えきれなかった。【佐藤究】