春夏通算100校目の初優勝で優勝旗が、ついに「白河越え」する。仙台育英(宮城)が下関国際(山口)に快勝。東北勢が阻まれ続けた決勝の壁を「13度目の正直」で乗り越えた。

同校OBの須江航監督(39)が18年就任から掲げるスローガン「日本一からの招待」の下、東北を中心に集結したナインが躍動。1915年(大4)第1回大会の秋田中(現秋田高)の準優勝から108年目の夏に、歓喜の瞬間が訪れた。

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仙台育英のラッキーボーイ岩崎生弥(いくや)内野手(3年)が、天国の祖父にささげるグランドスラムで初優勝をたぐり寄せた。4-1の7回1死満塁。「『天国にいるじいちゃんに力を貸して』とバットに思いを込めて打席に入りました」。5球目の真ん中高め140キロ直球を左翼席最前列に運ぶ今大会チーム1号。リードを7点に広げ、ベンチで出迎えた須江監督と熱い抱擁を交わした。

スポーツ少年団で監督経験があり、野球を始めるきっかけになった祖父豊さんが、昨年8月26日に74歳で他界した。母千春さん(43)は「おじいちゃんが大好きな子でした」。岩崎が同年6月に運動誘発ぜんそくなど複数の病気を患った際は「野球をやめてもいいのでは」と千春さんに進言したという。それでも岩崎は1年の闘病を経て、今年6月に完全復活を果たした。

宮城大会ではメンバー外だったが、今大会の登録18人に滑り込んだ。2、3回戦は代打出場も、準々決勝以降の3試合はスタメンに定着。打率3割5分7厘、1本塁打、10打点と大暴れした。「この代で日本一を取りたいと3年間やってきたので、かなって幸せです」。奇跡の男が「白河越え」のストーリーを完結させた。【山田愛斗】

 

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