秋季高校野球宮城県大会の組み合わせ抽選会が26日、富谷市内で行われ、東北勢悲願の大旗白河越えを果たした仙台育英・須江航監督(39)が、優勝報告で熱いメッセージを寄せた。

県内でしのぎを削り合うライバル校へ感謝の言葉を送った。「(宮城)県大会で苦しんだおかげで甲子園での5試合を宮城県大会1回戦の空気で戦うことができました。甲子園でこれまで10試合を戦いましたが、初めての感覚でした。宮城県のみなさんと切磋琢磨(せっさたくま)してやれた夏だったからこそ、それを感じることができました」

宮城大会1回戦は、昨春センバツ出場の柴田に6-4。決勝は聖和学園に3-1。2点はスクイズで奪ったものだった。「スコア以上に苦しめられましたし、つらい試合が多かったです」。拮抗(きっこう)した試合を勝ち上がったことが初優勝につながった。

抽選会に出席した各校主将らに高校生が秘める無限の可能性を説いた。

決勝で先発し7回1失点と好投した最速145キロ左腕、斎藤蓉(3年)は「入学当初の最速は120キロちょっとで、身長も172センチでした」と明かし、決勝戦で満塁本塁打を放った岩崎生弥内野手(3年)は「練習試合を含めても(本塁打は)1本くらいしか打っていません。夏の県大会はわずかに実力が及ばなくて背番号をもらえず、泣いていました。『もし甲子園にたどり着いたら(メンバーの)入れ替えがあるからな』と声をかけて、その言葉を信じ一番練習してくれた。県大会のスタンドでメガホンをたたき、試合が終わって学校に戻ると一番バットを振って、一番練習してくれて、甲子園の決勝で本塁打を打ってくれました」と語り「それって誰にでも可能性があることだと思います。ここにいるみなさんの可能性が無限大にあって、自分たちが優勝したことで、みなさんに希望とか、自分たちもやれると思ってくれたら、自分たちの優勝に価値があるのかなと思います」と語った。

最後には「みんなでまた新たな1年間。新しい宮城の高校野球がスタートしたと思って、ここからまた、みんなで頑張れたらなと思います」と締めくくった。