今夏の甲子園に出場した創志学園は門馬敬治新監督(52)の初陣を5回コールド勝ちで飾った。東海大相模(神奈川)で春夏通じて4度甲子園優勝の名将にとって、21年夏以来の公式戦采配。試合後、久しぶりの「門馬節」は以下の通り。

(引き揚げ際に自ら)

みんな10-0を期待しているから(笑い)。5回コールドでね。一番、声をだしましたよ。途中までは黙っていたけどな。

-途中まで見るとかテーマを決めていたのか

門馬監督 別にないんだけど、選手ってさ、公式戦にほとんど入っていない子たちだと聞いている。試合も出たことがない。いろんな思いがある。初めてやるポジションもある。だけど、選手たちはここに来て言ったのは『自分たちが行こうよ。自分たちから攻めようよ。自分たちから動こうよ。自分たちから考えようよ』と。自主性とかいう、簡単な言葉じゃなくてね。よく言うじゃないですか、自主性ってね。自主性じゃなくて、自分がこうなりたい、だからこうするというところが、指示を受けてね。反応はいいよね。「ハイッ」って。でも「ハイッ」という言葉は言い換えれば、すごく便利な言葉で、分かってなくてもハイハイ、分かっていてもハイハイ。だから、そこじゃないと思う。1つ、言葉を出せるように。そのなかで見ていたんだけど、動きたい気持ちはあるんだよね。出したい言葉もあるんだろうけど、出せていない。じゃあ、僕、やっちゃえばいいじゃんって。同じユニホームを着たんだから。いままでは僕は着ていないから。違う学校にいたりとかね。最初の練習をした日もコーチに「練習を見せてくれ。2、3日、どういう動きをするか見させてくれ」と言ったんだけど、30分持たなかった(笑い)。で、謝った。コーチ、ゴメンって。最後のミーティングで「俺、3日間って言ったのに30分しか持たんかった」って(笑い)。選手の目の前で言った。僕にとっては、そんな時間、もったいないんでね。だから、今日ももっと僕が最初から声を掛けてやれば、よかったと思う。同じユニホームを着た。同じ思いで、同じ戦いをする。

-最初は意識して抑えたのか

門馬監督 意識して抑えました。選手が、どう動くかなと。そうじゃないなと思った。僕もともに戦う姿勢を見せないと。いいんです、いまは僕の後ろでも。でも、僕の前に来るように、彼らが鳴ったとき、監督を選手が引き連れて、おんぶしてくれるようなね。僕はいろんな位置にいる。前にもいる。後ろに行くときも、横に行くときもある。いろんな立ち位置で選手と関わりを持てばいい。最終的には選手が僕をおぶってね「監督、連れていきますよ」って。僕は、ここにいきたいんだって。道は知ってますよ、って。ここは僕の譲らないところと思ってやってくれたら、野球は変わる。選手は変わる。何も、僕はチームを変えよう、野球を変えようと思っていない。彼らが生きる野球というか、彼らが輝く野球をできたらいいんじゃないかな。

-1回に9失点をどう見ていたか

門馬監督 誰も(投手に)寄らねえなって。誰も声を掛けねえなあ。誰もあそこで止めにいかないなあ。いつか止まるのを待っていたのか、と思った。僕があそこでタイム、キャッチャー行け、伝令を出すのは簡単だ。だから、練習の1つのテーマでね「声を掛け合おうよ」とね。「声を出そう」ではなく「声を掛け合おう」と。やっぱり、人を感じることからやること。ゲームで、苦しいんだよ、ピッチャーは。苦しい投手に誰が寄り添ってやれるんだって。仲間しかいない。高校野球は監督が行けない。(遊撃手の)上田に厳しいことを言うなら、上田があそこで止めにいくんだよ。「横田、頑張れ。ここ、俺たちが絶対にかえすから」って。もう1点少なく終わったかもしれない。打たれたときじゃないんだよ。四球2つ出して、押し出しにしたときほど、ピッチャー、苦しかったんだから。チームの強さは人の強さですよ。個の強さとつながる強さです。

-仲間が打って、声を出すタイミングが遅い

門馬監督 遅い。全然、遅い。だから、他人事になる。仲間なんだから。同じユニホームなんだから。仲間が打って「ナイスバッティング!」でいいじゃないですか。心の声と、人を認める声と、プレーの声が入り交じるような声を。僕が言うのは声じゃなく、言葉なんですけどね。言葉を出すということは、皆さんも書くでしょう。書くということは、言葉を書くわけだよね。絶対に頭を使う。しゃべるのもそうです。僕は講演をやらせてもらったときは文字に起こすんです。感覚でしゃべってない。全部、スクリプトを作って、だから、僕も勉強できるんです。みんなに言うのは、頭を使おうね、心を動かそうねと。選手は判断力、監督は決断力だよね。その速さ。スピード感というのかな。言っているのは、そんなことばかり。

-久しぶりの采配

門馬監督 ユニホームを着てグラウンドに立って。初めて創志のユニホームを着させてもらって、本当に身が引き締まる。いい緊張感の1日でした。いろんなことがゲームのなかに起こるのは分かっている。1回にドカーンといろんなことが来た。1つ1つを勝つことで(試合感覚が開いて)1週間後には、また違うチームになっていると思うんだ。

-秋の目標は。センバツまで見据えているのか

門馬監督 だって、大会に出ると言うことは勝つことが最優先ですから、一番上を目指しますよ。僕が「まだ選手を知らない」と言うのは簡単です。でも、大会は待ってくれない。僕はそんな言い訳をするつもりはない。

-戦力をどうとらえているのか

門馬監督 いまを評価するんじゃないということ。今日は終わった。僕は終わったときのミーティングは基本的にしないです、勝ったら。公式戦で勝っているから。彼らはいろんなことを感じているでしょう。(先発)横田に何を言ってあげるよりも、自分があのマウンドで感じたことを、この1週間でできるようにしようねということ。これだけでいい。これを気づいてないうちはいくら僕が言って練習しても、絶対に上がらないと思う。ヒントはやっているわけですよね。言葉を与えたり、場所を与えるというヒントもある。(1回に乱調だった横田は)1番から打者4人の連打は(バットの)芯を食った、いい打球だった。ストレートしか打たれていないけど。通常なら代えてもいい。だけど、僕はあえて投げさせた。あそこでどう立て直すか。本当は公式戦でやるべきではない。でも、そのチャンスが(先制の)7点あった。もっと早く代えるべきだったと思う。彼に時間と空間を与えたことによって、彼が何を感じ、今日からの。あの子、基本は野手なんですよ。外野手なんです。レフトに残そうかという話もあった。でも、僕はやめたんです。レフトに残したら(横田が)僕は野手もやるから、という感覚になる。でも、投手として降ろされたら投手。後ろに背負う番号は1番。『1』の責任があるよな。選ばれた1番。そこを彼はどう感じてくれるか。1番で降りたことによって、次のマウンドが違ってくると僕は思いたい。

(自ら切り出し)

アウトになったら、みんな、しょぼくれるんだよ。走らない。0・8秒の世界をすごく無駄にしている。打ってからの。これをやれたら、内野安打がいっぱい増える。そこまで追求してやる。みんな、凡フライ上げたら失敗なんです。周りも失敗だと思ってしまう。でも、あんなのは相手がエラーしたから、出塁したんだろというとき、いやいや違う、と。試合はエラーでも四球でもナイス出塁だ。岡山の夏の大会、チーム打率って勝つチームはどれくらいですか?

-打率3割後半

門馬監督 3割後半でしょう。6割以上は失敗している。失敗と言ったけど、6割は失敗とは言わない。要するに、その4割を打つ目標を持つけど、出塁率をどこに持っていくか。大会は。おのずと打率はそれくらいないといけない。でも、3割5分でいい。プラスの4分を出塁率で稼げるチームをね。3割打てなくなると大会で勝ち上がっていくのは、やっぱりキツイ。岡山でも2割5分とかなら、まず勝ち上がれないでしょう。

-おとなしい印象だ

門馬監督 真面目に取り組んでいるんです。もっと出してもいいよと。だけど、試合になって、ヒット打って、ガッツポーズするなと言ったんです。その瞬間(相手の)ミスを突いて先に行ける。今年の甲子園、多かった。みんなガッツポーズしてベンチを見ている。やっている瞬間にミスしているのがいっぱいあるんです。あの瞬間、行けるはずなんだよ。練習の時はできるよなと言いました。

-岡山は夏の甲子園で優勝したことがない

門馬監督 僕は使命というか、この場所でチャンスを与えていただいた。そのなかで狙いたい。岡山の初だからとかはないですよ。どこに目標を置くか。工夫すればチャンスが見えてくる。その景色を彼らに見てほしいし、僕もこの学校で見たい景色です。