宮城大会では東北が平沢快留(はる)内野手(2年)の先制満塁本塁打などで利府に7-1で快勝。東北は、秋季東北大会(10月10日開幕、山形)の切符を手にした。

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バットに白球を乗せ、平沢が「公式戦初アーチ」を描いた。2試合ぶり先発出場の第1打席は2回1死満塁。先制のチャンスでも「ランナーがいるかいないか関係なく集中して打席に入れた」。3ボールから2球で追い込まれ、勝負の6球目。甘く入った高め直球を逃さなかった。「入ったと最初は思わなかったが、入ってくれて良かった」。打球が右翼芝生席に飛び込んだことを確信すると、一、二塁間では人さし指を天に突き刺し、ダイヤモンドを1周した。

今秋から指揮を執る佐藤洋監督(60)も1発を喜んだ。「平沢は僕が就任してから毎日毎朝、コツコツ頑張っていた。頑張っている子に結果が出たことは平沢にとってもチームにとっても大きい1本になった」。

新体制での最終学年。チームを引っ張る自覚が芽生えた。「真っすぐ来るボールに対して、速くバットを入れることをアドバイスしていただいた。(ボールは)はじくというよりは乗せる」。朝や夜に振り込み、理想のスイングを追求。負けられない大事な一戦で努力の成果が実った。

決勝は仙台育英との「黄金カード」となった。夏の甲子園で優勝した姿をテレビで見て「特に2年生は同学年や知り合いが出ている人も多かったので刺激がチームに加わり、(秋の)原動力になったと思う」。優勝メンバー8人が残る名門との一戦に気持ちも高ぶるが「自分たちの野球ができれば」。注目校から1勝し、11年以来のセンバツ切符をかけた東北大会に弾みをつける。【相沢孔志】