石橋(栃木)が21世紀枠で、春夏を通じて初の甲子園出場を決めた。昨秋は県4強。高いレベルでの文武両道の実践や、地域の小学生を対象に肩や肘の検診を兼ねた野球教室の開催などが評価された。

16年、20年にも関東・東京地区推薦枠に選ばれたが、あと1歩及ばず。“三度目の正直”でついに聖地への切符をつかんだ。横松誠也主将(2年)は「自分たちの取り組みを評価していただいて率直にうれしいです。持ち味は元気の良さ。甲子園でも活気あふれる、楽しんでもらえるプレーをしたいです」と喜んだ。

地域の小学生を対象とした野球教室は13年から開催している。部員による技術指導だけでなく、NPO法人「野球医療サポート栃木」と協力して、肩や肘などのメディカルチェックを行う。部員たちも検診を受け、けがの予防や早期発見につなげている。横松主将も小学生時代に野球教室に参加。「小さいころから診てもらうことでケガへの意識がつきました。風呂上がりにストレッチしたり意識付けになった」と振り返る。

学業との両立も容易ではないが「勉強が逆にリフレッシュになる。質を上げるために移動時間を短く。待ってる間も隙間時間を大事にしようと」。短時間でも集中して取り組むことで、成果を上げている。福田監督は「21世紀枠で漏れた学校のつらさは本当に分かります。その学校さんの分も頑張らないといけない」と引き締めた。【鈴木正章】

◆3度目の正直 石橋は16、20年大会に次いで21世紀枠の各地区最終候補9校に入り、3度目の地区候補で代表決定。地区候補に3度選ばれた学校は成章(愛知=06~08年)富岡西(徳島=01、08、19年)平田(島根=15、19、20年)と過去3校がすべて選出されていた(20年はコロナ禍のため大会中止)。

 

▽センバツ特別枠

◆21世紀枠 01年導入。推薦校は原則として秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟129校以上はベスト32以上)から選ぶ。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。07年まで2校、08年から3校を選出(85回記念大会の13年と、明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がなかった21年は4校)。全国9地区の候補校のうち東日本(北信越、東海以東)、西日本(近畿以西)から1校ずつ、残り7校から地域を限定せず1校を選ぶ。

◆神宮大会枠 03年導入。明治神宮大会優勝校が所属する地区に出場枠1を割り当てる。今回は大阪桐蔭が優勝し、近畿地区に1枠をもたらした。