昨秋中国大会準Vの光が2-0で彦根総合を下し、春夏通じて甲子園初勝利を挙げた。主将でエース右腕の升田早人投手(3年)が143キロで最速を更新した直球にスライダーを交え、わずか99球で11奪三振3安打完封と大貢献だ。中国大会後、セットポジションからノーワインドアップに変更してキレ、安定感が向上。甲子園仕様に改修した練習マウンドで投げ込みを続け、歴史を塗り替えた。

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升田は9回、最後の打者を138キロ直球で三ゴロに打ち取ると、右手で力強くガッツポーズした。100球未満で9回以上を完封する通称「マダックス」を99球で達成。11奪三振の3安打完封劇だ。同校は過去に2度の夏甲子園を経験しているが、未勝利だった。「三度目の正直」で甲子園初勝利に導き、初めて流れた校歌に「独特の景色は壮観で、かみしめて歌いました」と喜んだ。

「指にかかる感覚が一番のバロメーター」という感触で、初回からエンジン全開だ。143キロで最速を更新した直球を軸に、スライダーを交えて翻弄(ほんろう)。「甲子園のマウンドは投げやすくて、自分の制球、スピードを出すことができました」。

4回からはイニングまたぎで3者連続三振も記録。唯一、三塁走者を背負った5回2死三塁のピンチも空振り三振で難なく切り抜けた。

15年以来、元宇部商エースの外部コーチから指導を受けている。85年センバツ2回戦で清原和博、桑田真澄を擁するPL学園と対戦した田上昌徳さんの下で、升田も進化した。中国大会後、セットポジションからノーワインドアップへの変更を助言され、キレや制球が安定。甲子園マウンドの感触や風の影響も聞くなど準備万全だった。

同校は2月上旬、練習場のマウンドを甲子園仕様の傾斜や土に替えた。宮秋孝史監督(59)は「プロ野球球場でもマウンドを管理する知り合いに頼み込んだ。全ては升田のため。その効果は大きいと思います」。チーム一丸となった努力が報われ、歴史的な1勝をつかんだ。【菊川光一】

■光・西原マネが女子初ノック補助

○…光の西原さくら女子マネジャー(3年)が、昨夏に甲子園で女子部員のノック補助が解禁になってから初めて同補助を行い、勝利の女神になった。甲子園初勝利に「長年の夢だった1勝ができた。新校歌を歌うことができてうれしかったです」。夢のグラウンドに立ち「下から見る景色が全然違った。スタンド広くて、すごく感動した」と声を弾ませた。

◆校名が漢字1字 光は春夏3度目の甲子園出場で初勝利。過去夏に2度出場して初戦敗退。漢字1文字の学校が勝ったのは境(鳥取)社(兵庫)呉(広島)に次ぎ4校目。