昨年4月に就任した多田晃監督(44)率いる履正社(大阪)が、高知に逆転負けで初戦敗退を喫した。

春夏甲子園3度の優勝を誇る報徳学園(兵庫)は、センバツ6年ぶりの白星で初戦を突破した。4番石野蓮授(れんじゅ)外野手(3年)が2ランを含む3安打3打点で打線をけん引し、高崎健康福祉大高崎(群馬)に快勝した。氷見(富山)は、昨秋関東王者の山梨学院に善戦及ばず、21世紀枠は3校とも初戦で姿を消した。

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19年夏の全国王者がまさかの初戦敗退を喫した。履正社1点リードの8回。左腕エース福田幸之介(3年)がこの日初めて浴びた安打から2死満塁のピンチを招き、3番高塚に逆転打を献上。多田監督の甲子園初陣を飾れなかった。初回は公式戦最速の145キロを出したが、2回は連続四球と暴投で失点。独特の雰囲気にのまれた部分もあったといい「自分が情けない」と肩を落とした。

苦難を乗り越えてつかんだエース番号だった。昨夏は左肩を負傷。投手生命の危機も感じたが、中3から通う整骨院で「大丈夫、治るよ」と言われ、前向きにリハビリに取り組んだ。復帰後は猛練習の日々を過ごし、最速147キロを出すまでに成長。昨秋までのエース増田を押しのけ、大会前に背番号1を勝ち取った。

初の聖地は涙に終わったが「レベルアップします」と前を向いた。夏の大阪から出られるのは1校だけ。大阪桐蔭など強豪ライバルを倒すべく、無念を力に変える。【竹本穂乃加】

◆WBC代表の母校 山田哲人(ヤクルト)の母校・履正社が初戦敗退。今大会に出場したWBC戦士の母校は、ダルビッシュ有の東北、源田壮亮の大分商、吉田正尚と山崎颯一郎の敦賀気比、鈴木誠也(代表辞退)の二松学舎大付も初戦で敗れた。高橋奎二の龍谷大平安は初戦を突破した。