憧れの舞台で期待に応える。第95回選抜高校野球大会(甲子園)で初戦を突破した仙台育英(宮城)が25日、兵庫・西宮市内で調整した。

寺田賢生内野手(3年)は初戦の慶応(神奈川)戦に「3番二塁」で出場するも3打数無安打。大阪から宮城の強豪に進学し、背番号「5」をつけ、地元に戻ってきた好打者は、27日の3回戦龍谷大平安(京都)戦で、熱い思いを胸にHランプを点灯させる。

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最初で最後のセンバツで成長した姿を見せる。昨秋からベンチ入りした寺田は、明治神宮大会準決勝で、今秋のドラフト候補に挙がる大阪桐蔭・前田悠伍投手(3年)から2安打1打点をマーク。上位を任された慶応戦でも持ち味を発揮したかったが、いずれも飛球で凡退した。「感覚は良かった。重心が少し浮いた部分があったので修正をかけたい」と、龍谷大平安戦に気持ちを切り替えた。

甲子園は憧れであり、目標だ。大阪・堺市出身で昔から観戦に訪れ、印象に残っているのは根尾昂(22=中日)、藤原恭大(22=ロッテ)らが在籍した大阪桐蔭の試合だ。21日の2回戦慶応戦は多くの観客の前でプレー。「緊張もしたけど、憧れの場所でもあるので、いい経験になった。相手の応援がすごくて、自分も応援されている感覚になった」と、貴重な経験を積んだ。

大阪を離れ宮城へ-。仙台育英に進学したのは、同校OBの兄周生さんの影響がある。周生さんは、仙台育英の前回のセンバツ出場、21年大会で背番号「13」でメンバー入り。「お兄ちゃんは甲子園が初背番号で、自分もうれしく思った。試合を見に行きました」。1月にセンバツ出場が決まり、“先輩”である兄から「緊張するけど、楽しいから、全力で楽しんでこい」と、助言を受けた。

21年は準々決勝敗退。初優勝には届かなかった。「長所のバッティングで活躍できるように頑張りたい。単打でも長打でも打てると思っているので、そこを見せたい」と弟は誓う。まずは初安打を放ち、チームに勇気を与える。【相沢孔志】