甲子園春夏3度優勝の報徳学園がサヨナラ勝ちし、17年春の4強入り以来、6年ぶりに春8強入り。西村大和内野手(2年)の一打でタイブレークを制した。
激闘に終止符を打った。右前に打球が落ちると、大歓声が西村を包んだ。「チャンスだったので、積極的に振り抜こうという気持ちだった。打球が落ちて解放感がありました。うれしかった」。延長10回1死満塁から放った人生初のサヨナラ打に笑みがこぼれた。
入寮後、2日目で「帰りたい」と両親に連絡した姿はもうない。父憲二さん(53)は息子の成長を実感。「寮生活をして『ありがとう』と言うようになった。報徳で感謝を教えられて、人として良くなった」。名門校のスタメンに名を連ねて甲子園でサヨナラ打を放った姿に、喜びも増した。
15安打で5得点ともどかしい展開だった。それでも大角健二監督(42)は「ここまで打ってくれるとは想定外」と前向きだ。エース盛田智矢投手(3年)もタイブレークを無失点で切り抜け、ほえた。西村は「声援のおかげで打てたので、ありがとうという思い。盛田さんの気迫が自分の打撃につながった」と謙虚に受け止めた。快勝の初戦に続き、サヨナラ勝ち。名門校が乗ってきた。【林亮佑】
◆報徳学園のサヨナラ勝ち 春夏通算10度目。サヨナラ勝ちの回数では最多13度の中京大中京に次ぎ、2位のPL学園(10度)に並んだ。
◆報徳学園対東邦 甲子園では5度目の名門対決となり、3連敗中だった報徳学園が64年春以来59年ぶりの勝利で2勝3敗とした。なお、甲子園の最多対戦は中京大中京-広陵の7度。