山梨県民悲願の頂点まで、あと1勝!山梨学院が、6-1で広陵(広島)に勝利し、初優勝に王手をかけた。

5試合連続で先発した“鉄腕”エース林謙吾投手(3年)が、被安打10ながら失点1、9回を142球で今大会3試合目となる完投勝利。気迫の投球は打線にも伝わり、1-1で迎えた9回に打者一巡の猛攻で5点を挙げた。県勢初の決勝進出を決めた選手たちの勢いは、止まらない。

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甲子園のマウンドで、林は歴史をつくった喜びをかみしめた。9回2死二塁、最後の打者を一ゴロに仕留めると、両手で大きくガッツポーズ。捕手の佐仲と思いきり抱き合った。県勢初の決勝進出。「試合が終わった瞬間、すごいうれしかったです。絶対抑えてやると思って。毎イニング、全力で抑えにいきました」と振り返った。

エースらしい、堂々とした姿だった。今大会5試合連続の先発。開幕戦から準々決勝まで合計436球を投じた体は、決して本調子でなかった。持ち味の制球がわずかにズレる。初回1死三塁、広陵の主軸・真鍋に今大会2つ目の四球を与えるなど1点を先制された。それでも冷静だったのは「自分がそんなにいい投手と思っていないので」という思考。プロ注目投手に投げ勝っている今大会だが、謙虚な姿勢は変わらない。

昨秋の関東大会までは背番号10。冬の期間に1日150球を投げ込み、筋トレで体重は78キロから85キロに。「ひと冬やって、自分が思っていたよりも通用した部分があったのでそこは素直にうれしい」。地道に積み重ねてきた努力が、甲子園で花咲いた。

開幕戦で東北(宮城)に勝利した翌日、オフを利用してチームメートとセンバツを外野スタンドから観戦した。初めて客観的に見た感想は「あの中でよく投げられるなぁ」。今大会、最後までマウンドに立てる権利を手にしたのは自分。甲子園に、甲斐の風を吹かせる。【保坂恭子】

▽山梨学院・星野泰輝外野手(3年=決勝進出について)「(広陵は)強豪で名門なのでチャレンジャー精神で自分達の野球をすると決めていた。自分たちの野球が完全にできて力が出せた。(8回の好守は)林を少しでも助けたいという思いが強く、思い切ったプレーができた」

▽山梨学院・進藤天内野手(3年=3打数3安打2打点の活躍の主将)「歴史を変えられたことをうれしく思う。自分たちが頑張れているのも応援してくれる方のおかげ。感謝の気持ちを持って、明日(決勝)は最後まで諦めずに食らいついている姿を山梨の人に見てもらいたい」

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