報徳学園・大角健二監督(42)の立命大の恩師、松岡憲次元監督(66)が、決戦を終えた教え子をねぎらった。選抜大会中の毎試合、送り続けたショートメール。3月31日の準決勝のあと、大阪桐蔭戦の逆転をねぎらったメールに対し「明日は死に物狂いで頑張ります」と返事が来た。だが山梨学院の前に、一歩及ばず。準優勝をねぎらうメールに「夏に向けて、また頑張ります」と力強い言葉が返ってきた。

立命大時代、松岡元監督は大角監督を主将に抜てきした。チームを代表するスター選手でもなければ、目立った試合実績もない。それでも、迷いなく主将に選んだ。「ぼくは成績でキャプテンを決めたことはないんです。やっぱり大角の人間性。それが決めてになった」と決断の裏側を振り返る。

報徳学園の永田裕治監督(59、現日大三島監督)からも、大角監督の人柄を裏付ける言葉を聞いていた。「チームにとってプラスになる子です」と高校の恩師は言いきった。言葉通り、試合でも練習でもいっさい手を抜かず、ひたむきに1つのことをやりとげる実直さは大所帯のチームの中でも抜きんでていた。「大角なら、チームを1つにしてくれる」と信念を持っての抜てきだった。

卒業後も、ときおり食事をした。母校に戻ってくるよう求められた話も聞いた。人生の決断は、本人が下すもの。ただ「指導者に向いている」と、人を導く才能を信じていた。

大学4年の大角監督に感じた「チームを1つにする力」は、指導者になった今の姿にもみなぎっていた。3月に日本中をわかせた侍ジャパンのように「今の報徳学園は、ベンチが1つになっている。明るくて、一生懸命で、互いを信じ合っている。いいチームを作ったと思います」。その指導力もうれしかった。「本当に、いい男ですから」。教え子が何歳になろうが、どんな立場になろうが、信頼は変わらない。

紫紺の大旗にあと1勝届かなかったが、松岡元監督は「仙台育英や大阪桐蔭に勝つのは、チームに力がないとできないこと。あらためていいチームを育てたなと感じます。夏が楽しみです」と、深紅の大優勝への挑戦を心待ちにする。【堀まどか】

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