文徳(熊本2位)が今春センバツ16強の沖縄尚学を9-4で下し、初戦を突破した。怪力スラッガーの4番・辻崎大成外野手(3年)の2本塁打を含む3安打5打点の活躍など、打線が11安打と爆発。相手エース東恩納(ひがしおんな)蒼投手(3年)は登板なしも、センバツ経験投手を含む4投手に力負けしなかった。西日本短大付、大分舞鶴、佐賀北も勝ち上がった。

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辻崎が1年秋以来の1試合2発で、センバツ16強の沖縄尚学を沈めた。昨秋九州王者を打撃戦の末に下し「九州で秋1位の実力校に弱気にならず攻めることができた。チームの成長」と声を弾ませた。

高校通算27本塁打に更新する大活躍だった。1回無死二、三塁、「打った瞬間入ると思った」と外角直球をバックスクリーンまで運んで26本目。9回2死三塁では、センバツ3回戦で先発した儀部皓太朗投手(3年)の内角スライダーをとらえた。詰まったが、力で運んで左越え2点本塁打を決めた。

パワーには自信がある。怪力の源は育った鹿児島県の離島、喜界島で育まれた。「自然が豊かなので、海で泳いで筋力がつきました」。軟式野球部と同時に所属した陸上部では3年時、砲丸投げで13メートル03センチを記録し、県中学チャンピオンに輝いたほどだ。いとこがが通った縁で文徳に進学し、パワーを武器にチームを支えている。

カブス鈴木やレッドソックス吉田の動画も参考にしているという。この日も試合前に「鈴木選手のように、バットを右手で押し込む時や、足の上げ方を復習しました」。メジャー流で結果を残した。【菊川光一】

○…沖縄尚学は東恩納投手の登板回避が裏目に出た。比嘉公也監督(41)は「肩甲骨が痛いと言っている」と説明。けがの影響もあって登板させなかった。他の4投手の継投で粘ったが、流れを引き戻せず炎上。全国制覇歴を持つ指揮官は「東恩納ばかりに投げさせてきて、(他投手の)経験値が足りないので投げさせたが、変わる気配がない」と苦々しい表情。2番手投手育成に苦しんでいる。

○…鹿児島城西はプロ注目の二刀流スラッガー、明瀬(みょうせ)諒介内野手(3年)は初戦で散った。8回1死走者なしから「ヒット狙いだったが、うまく風に乗った」と高校通算47号の左越え同点本塁打。投げては8回から救援し、9回の先頭打者には152キロを計測した。「外のボールだったが、指にかかった感じがあった」。最速を7キロ更新したが、9回に満塁から3失点して力尽きた。

▽大分舞鶴・児玉陽悠捕手(3年)(同点の9回2死満塁、プロ注目の明瀬から3点三塁打)「140キロ中盤の投手は大分にいっぱいいるので、絶望感はなかった。慣れているので、けっこう球は見えていました」