春季熊本大会王者の有明が3-2で優勝候補の福岡大大濠を下し、初の決勝進出を決めた。エース左腕の稲岡寛太投手(2年)が、手本にする野茂英雄氏(54)のトルネード投法や、自慢の緩急で翻弄(ほんろう)して3安打2失点完投。2戦連続7回コールド勝利中だったプロ注目選手もいる強力打線相手に、115球で投げ勝った。

「野茂トルネード」を武器にする稲岡が、同校初決勝に導いた。最後の打者を左飛に打ち取ると、115球完投で渾身(こんしん)のガッツポーズ。「緩急をつけて投げられた。外角への変化球と真っすぐの出し入れが良かったです。強気で行けた。今日は120点」と声を弾ませた。

最速は、この日2キロ更新した134キロながら、スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップを要所で使う緩急で勝負。「ひらめきで、やってみようと思った」というトルネード投法も時折交え、翻弄した。野茂氏を参考に、中1秋で試して以来だった。だが、8三振を奪うなど大会屈指の強力打線に効果を発揮した。

佐賀・基山町の生まれだが、「熊本は熊本工や東海大熊本星翔など強い学校が多いので(有明で)対戦したいと思った」と進学して、1年秋からベンチ入り。昨秋新チームでは背番号11だったが、高見一茂監督(43)が「春先一番結果を残した」という努力が報われて、今春県大会からエースの座を射止めた。

憧れは同じ佐賀出身左腕で173センチのDeNA浜口遥大投手。稲岡も168センチと小柄だが、決勝も「1回1回1人1人丁寧に投げたい」と、強い気持ちで活躍を誓った。【菊川光一】

【関連記事】高校野球ニュース一覧>>