8強が出そろい、今夏全国選手権静岡大会のシード校が決まった。今春センバツ出場の常葉大菊川は御殿場西を6-3で下し、4年ぶりの獲得。児玉一琉(いちる)外野手(1年)が、決勝打を含む4安打2打点の活躍を見せた。

聖隷クリストファーは富士市立を5-1で破り、21年ぶりにシード権を得た。また浜松開誠館、藤枝明誠なども勝利。準々決勝は30日に草薙、清水庵原球場で行われる。

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4年ぶりのシード権を引き寄せる快音が、常葉大菊川の新戦力・児玉のバットから響いた。2-2の6回。2死二、三塁から強打の鈴木叶捕手(3年)が申告敬遠を受け、2死満塁の好機で打席が回った。「叶さんが警戒されることを想定して、心の準備はしていた」。言葉通り、外角スライダーを左翼へ運んだ。2人が生還。うれしい公式戦初打点が決勝点となった。

4月に入学したばかりの児玉。「うれしい」と笑う表情もまだ初々しいが、活躍は“新人離れ”している。この日、4打数4安打に死球と全5打席で出塁。初戦の2回戦・静清戦(2○0)の第4打席から続く連続出塁を7打席に伸ばした。石岡諒哉監督(33)は「捉える能力が高い。試しに起用しているわけではなく、勝ち取ったもの」と高評価。「2番・右翼」で堂々とレギュラーを張る。

今春のセンバツは磐田市の自宅でテレビ観戦した。「自分も甲子園に出たいと思った。武器は打撃。夏にチームの戦力となれるように、これからも役割を果たしていきたい」と静岡高との準々決勝を見据え、目を輝かせたスーパー1年生。まだまだ、快音を重ねていく。【前田和哉】

○…プロ注目捕手の鈴木が、先頭打者本塁打を放った。公式戦で初めて1番で起用されると、初回。1ボールから2球目の直球を捉え、バックスクリーン左に高校通算21号アーチをかけた。夏のシード権獲得に貢献したが、チームの目標は2季連続の甲子園。攻守の要となる背番号「2」は「走塁も含めて打ち崩せた感覚はない。もっと突き詰めていかないといけない」と反省を口にした。