2年ぶり14回目出場の北海道栄が12-5の7回コールドで昨年度の覇者、札幌第一を下し、今大会の開幕試合で初戦を突破した。

1回表に3失点する苦しい展開も、直後に4番下山大楽(たいら)一塁手(2年)の左越え2点本塁打で1点差。一時は再び3点差に戻されたが、5回裏に、5番神野航汰中堅手(3年)のセーフティースクイズで同点。8番高村陽亮(ようすけ)捕手(2年)の右前2点適時二塁打で勝ち越し、試合の流れをつかんだ。

1回裏に反撃の口火を切る公式戦1号本塁打を放った下山は「外野の頭を越える打球を打ちたいと思って打席に入りました。打った瞬間に確信しました」と笑顔。この冬は1日4食でどんぶり飯を平均8杯食べ、半年で9キロの増量に成功。その成果を、春の大舞台で見せつけた。

勝ち越しタイムリーを放った高村捕手は、昨秋の室蘭地区、全道大会を通じ、4試合で1本もヒットを打てなかった。秋季全道大会終了後から常に右に流し打つイメージを持ちながら1日300スイングし、打撃を向上させた。地区では3試合で7安打。この日も3打数2安打4打点の活躍。「打撃は苦手なんですが、打てて良かった」と謙遜しながら、顔をほころばせた。

下山は兵庫、高村は大阪出身。同じ関西地方から北海道にやってきて、当初は「同部屋で口げんかもした」(下山)2人だが、今ではお互いに気付いた点をアドバイスしあう大切な仲間だ。“夏の甲子園で里帰り”という共通の目標を実現するため、まずは春の大舞台で勝ち進み、夏への勢いを付ける。【中島洋尚】