仙台商が今春センバツ出場の東北に4-3で逆転勝ちした。エース右腕・阿波壮汰(3年)が5回から2番手で救援登板し、5回6安打1失点の粘投。1点リードの9回2死は連打で一、三塁のピンチを背負ったが切り抜け、14大会ぶりの4強入りに導いた。仙台育英は古川学園を3-1で下し、4大会連続で4強入り。橋本航河外野手(3年)が「1番中堅」でフル出場し、3安打1打点1四球とリードオフマンの仕事を全うした。

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名門の意地に屈しなかった。4-3と1点リードの9回2死。阿波は左前打と二盗で得点圏に走者を背負い、相手1番を一ゴロに抑え、カバーに走ったが送球が合わず内野安打。2死一、三塁と逆転のピンチを迎えたが、マウンドで動揺しなかった。「反省は終わってからしようと思って切り替えた」。目の前の打者に集中し、最後は左飛に仕留め、右拳を握って整列に向かった。

試合前の“準備”が効いた。相手は昨秋東北大会準Vのセンバツ出場校。1週間ほど前からセンバツ1回戦、東北-山梨学院の映像をチェックし、内角を有効活用した。試合をひっくり返した7回以降は先頭打者を出すことなく、同回1死三塁の相手スクイズは好守備で防ぐなど、流れを渡さなかった。この日は軟式野球部も応援。「自分の背中を押してくれて応援のおかげで勝てた」と感謝した。

打線は6回、連打や四死球などを絡めて4得点。だが、守備では5回までに3失策。下原俊介監督(52)は「前半は守りのミスで崩れた。生徒たちがこういった勝利で自信を持って夏に臨めれば」と振り返った。準決勝は仙台一と対戦。決勝に進出すれば東北大会(6月7日~11日、岩手)が待ち受ける。「最終的な目標は夏になるが、1試合でも多く戦えることを幸せに思って戦いたい」と阿波。全力を出し切り、実りある春にする。【相沢孔志】

○…東北が逆転負けで2大会連続4強を逃した。同点の6回無死満塁からエース右腕・ハッブス大起(3年)を投入したが押し出し死球。打線は得点圏に走者を出しても1本が出なかった。佐藤洋監督(60)は「すべては夏の準備。今日の試合も含めて夏のための試合という認識なので、前向きにいきたい」と気持ちを切り替えた。

○…仙台育英・橋本がバットと足で得点を重ねた。2打席連続安打で迎えた5回2死は四球で出塁。二盗で得点圏に進み、山田脩也主将(3年)の左前打で先制のホームを踏んだ。7回1死三塁での第4打席は適時中前打を放ち、3打数無安打だった2回戦の大崎中央戦から修正し、結果を残した。準決勝で東陵に勝利すれば、東北大会出場が決まる。「相手チームのレベルも上がり、点を取るのが難しくなると思う。自分たちの強みである投手陣を生かせるように、しっかり守って一戦必勝で戦いたい」と意気込んだ。