仙台育英が仙台商を7-1で下し、4連覇を果たした。湯浅桜翼(おうすけ)内野手(2年)が同点適時打を含む2安打1打点3盗塁と好守備で躍動した。3位決定戦はタイブレークの末、仙台一が東陵に4-3で競り勝った。東北大会(6月7日~11日、岩手)は仙台育英、仙台商、仙台一が出場する。

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“バースデーボーイ”湯浅が観客の心をつかんだ。1点を追う2回無死二、三塁で迎えた第1打席。一塁側応援席からバースデーソングが流れた。球場全体から拍手が沸き起こり、気持ちが高ぶった。「打たなかったら変な感じになるので絶対に打つ」。1ボールから変化球を捉え、同点の適時中前打。一打でチームに流れを呼び込み、この回3得点で逆転に成功した。4回は左前打で出塁。二、三盗で進塁し、尾形樹人捕手(3年)の内野安打で4点目のホームを踏んだ。

守備でも輝きを見せた。2回無死二塁で相手5番が犠打。フェアゾーンに落ちそうな飛球を湯浅がダイビングキャッチ。「自分の中でも『もしかしたらあるかな?』と思った中でプレーができた。守備の想定の幅という長所を出せた」。時折小雨が降るコンディションの中、4度の守備機会を無失策。攻守で投手陣を支えた。須江航監督(40)は「センバツで思うようなプレーができなかったり、勝敗に関わるようなミスもあった。1つ1つ成長しているなと思える素晴らしいプレーだった」とたたえた。

4連覇を果たし、第1代表で挑む東北大会。準決勝から2試合連続マルチ安打と好調な湯浅は「大会を通じてチームで優勝を狙っている。ただ勝つのではなく、試合の流れの進め方にこだわって優勝を狙いたい」と意気込んだ。1年秋からベンチ入りし、明治神宮大会、センバツも経験した2年生。夏に向けて実戦機会を重ね、チームに欠かせない存在に成長する。【相沢孔志】

○…1897年(明30)創部の伝統校・仙台一が、サヨナラ勝ちで36大会ぶりの東北大会出場を決めた。今大会は10回から無死一、二塁で始まるタイブレーク制を採用。3-3の11回無死満塁、大棒銀河内野手(3年)はここまで4打数無安打2三振。「自分が絶対に決める思いで打席に入り、迷いなく振れた」。1ボールからの高めスライダーを捉えて中犠飛。チーム全員で1勝の喜びをかみしめた。

同校は21年春に準優勝したものの、新型コロナの影響で東北大会は中止。試合前には当時の3年生から連絡が届き、チームの士気は上がっていた。大棒は「一高の長い歴史で東北大会に行けたのは数少ない。2個上の先輩の分までみんなで戦いたい」と気を引き締めた。2年前の思いを背負い、各県の強豪に立ち向かう。