「たった1人の3年生」たちが、最後の夏を迎えようとしている。静岡西の堀優雅主将は、打撃が魅力の外野手。公式戦初勝利を目指し、勝負どころでの1本を誓った。相良の沢村隼人内野手は、単独チームでの出場がかなった喜びを胸に主将としてチームをけん引する。共に「夏1勝」を目標に掲げる2人、高校最後の大会を全力で駆け抜ける。

   ◇   ◇   ◇

相良の主将・沢村が部員10人でチーム目標の「夏1勝」に挑む。今春就任した教諭1年目の長谷川純平監督(23=浜松北出)の初陣。指揮官からバントや盗塁など細かい技術を教わった沢村は「監督に初勝利を贈りたい」と力を込めた。

2年前の入部時、同級生選手はいなかった。「最初は不安もあった」。中学までと違う新しいプレーにも臨み、エラーすると落ち込んだ。そんな時、1学年上の先輩らに「次のプレーが大事」と励まされた。「先輩方がしっかり面倒をみてくれたおかげで不安はなくなった」と振り返る。

2年生になると下級生6人が入部。昨年の夏季大会後から主将に。しかし部員は不足。同年秋と今春の大会は合同チームだった。この4月、1年部員3人を迎え10人になり「単独チームを組める」と喜んだ。合同チームで「声出しをもっと見習わなければ」と学び、今では積極的な声かけとプレーで、チームをけん引している。

チームの強みは、守備から自分たちの流れをつくれること。泥くさく、最後まであきらめずボールに食らいつく。攻撃で2番打者の沢村は「前の打者が出塁したら、バントでしっかり送りたい」と得点を意識。指揮官から「悔いなくやりきって」と後押しされた。

沢村のアドバイスで打撃が向上したという4番の河原崎祐内野手(2年)からは「先輩と一緒に1試合でも多く戦うため、チャンスで必ず1本打ちたい」と援護を受ける。沢村自身、公式戦初白星を目指す。【倉橋徹也】

◆沢村隼人(さわむら・はやと)2005年(平17)8月1日、牧之原市生まれ。いとこに誘われ、小1から牧之原少年野球団で野球を始め、中学時代は相良中軟式野球部でプレー。右投げ右打ち。家族は両親。165センチ、65キロ。血液型A。