札幌地区で春夏通じ初の継続試合が適用された。Bブロック2回戦の石狩翔陽-札幌新陽は、9回裏札幌新陽の攻撃中に降雨により中断し、そのまま翌日に持ち越された。スコアは8回に石狩翔陽が勝ち越し2-1。札幌新陽のプロ注目右腕、細野龍之介(3年)は毎回の15奪三振をマークしていた。試合は30日第2試合午後0時半開始予定で、札幌新陽1死一、二塁、2番打者から再開される。

札幌地区で初の継続試合は、あと2死の場面で宣告された。1-1で迎えた8回に石狩翔陽が勝ち越し点を奪い、札幌新陽にとっては逆転を狙って臨んだ9回裏。雨が激しくなり、午後5時9分に中断した。天候回復が見込まれず、日没が迫り視界も不良。17分後に球審による「継続試合」のコールが響いた。ベンチで待機していた両チームのナインも受け入れた。

今春から導入された継続試合の制度がなければ、雨天コールドが成立して石狩翔陽の勝利となる可能性があった。札幌新陽の小崎達也監督(34)は「例年であればこういう状況で夏が終わってしまうので、こういう制度はすごくありがたい。選手たちもやりたい気持ちがあった。最後決着するまでやらせてもらえるのは、感謝しかない」と話した。

札幌新陽の細野は2失点を喫したが毎回三振を奪い、計15個。5回は三者空振り三振に打ち取った。この日は自己最速に2キロ届かなかったが、143キロをマーク。5球団のスカウトが視察するなかアピールした。128球を投げても、翌日の続投を熱望。「追いついてもらって、自分が後も投げられるように」と、仲間の同点、逆転サヨナラを信じて、準備するつもりだ。

石狩翔陽の先発井上幸明投手(3年)も前向きに捉えた。激しくなる雨で制球に苦しみ、連続四死球で1死一、二塁でサヨナラのピンチを迎えていた。125球を投げ、球威や球速が落ちている感覚もあった。自チームがリードしていたが、「自分にとってはプラスと考えている。持ち越しとなり、明日(30日)には変化球のキレも戻ると思うので」。打線は細野対策として打撃マシンで速球を打ち込んでいた成果もあり、8安打。エースとして報いる。

1点リードの石狩翔陽が逃げ切るか、札幌新陽のサヨナラ勝ちか。札幌新陽は3季通じて地区予選突破の経験はなく、石狩翔陽にとっては勝てば現校名となってから初の南大会に王手をかける。【保坂果那】