「快足の神様」が決勝打を生み出した。

桐光学園(神奈川)は両校無得点で迎えた5回2死三塁。50メートル走6秒0のスピードスターの1番矢竹開外野手(2年)が外角スライダーを強振すると、左打席から好スタートで駆け出した。「打った瞬間にファーストとのギリギリの勝負になると思ったので無我夢中だった」。遊撃手が少し下がって捕球した打球を内野安打にし、三塁走者が生還。この一打で流れをつかむと、第2シードの藤嶺藤沢を下した。

幼い頃からいろんな競技をやっていた。小学生の頃はサッカー・町田ゼルビアU-12のスペシャルクラスでFWを務めた。中学は陸上部に所属。平日は陸上短距離、休日は野球の日々を送った。16年リオ五輪400メートルリレー銀メダルの桐生祥秀のフォームをまねて「飛んで進んでる感じがするようになった」と、中学時代に短距離で都大会準優勝。母弥生さん(45)も「足だけはいつも速かった。1番以外見たことない」と懐かしんだ。走る才能があったが「あくまで全部は野球につなげるため」と、高校では野球に専念した。

快足を突き詰めてきたことが野球にも生きている。「守備はいつ飛んでくるかわからない中で1歩目の反応が大事。サッカーの時にこぼれ球を拾ったりして土台が出来た」と守備力向上の要因になっている。

今夏はノーシードから頂点を目指す。「今日みたいに先制打が鍵となるようなゲームが続くと思う。自分がホームを踏むのもあり、自分が打ってかえすのもあり。どうにかしてチーム全体で先制点を取りに行けたら」と、自慢の足でグラウンドを駆け回る。【星夏穂】

○…第2シード藤嶺藤沢(神奈川)が2回戦で姿を消した。主将の加藤央祐捕手(3年)はチームをどう引っ張るか悩んでいた。1月、菊地幹監督(28)主催の歴代主将との焼き肉会で「率先して動いた方がいい」と言われ、心が動いた。練習では必ず最初にグラウンドに到着し、最後に帰った。「とにかく楽しい3年間でした。菊地監督と同じ体育教師になって指導者を目指したい」と前を向いた。