日本ウェルネス(東東京)の193センチ右腕、辻口輝投手(3年)が今秋ドラフト候補に急浮上した。神宮で行われた初戦の正則戦に先発し、9回7安打14奪三振で1失点(自責0)完投勝利を挙げた。5球団10人のスカウトが熱視線を送る中、ポテンシャルの高さを見せた。

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笑顔で投げていた辻口が、最後にほえた。灼熱(しゃくねつ)のグラウンドで、9回1死から2者連続三振を奪って完投。「よっしゃー!」とガッツポーズが飛び出した。「バテるかなと思ったけど、投げきることができた。勝ててよかったです」。磯口洋成監督(74)は「後半も球威が落ちなかった。予想以上の投球でした」と話した。

大器がベールを脱いだ。高校入学後はケガに悩まされ、1年時は左手首を疲労骨折、今年に入って右脇腹を肉離れ。まだ復帰したばかりで、投球は「(100点満点で)30点」と自己採点は低め。それでも、ヤクルト橿渕スカウトグループデスクは「潜在能力は抜群。緩急が使えている。手先が器用で楽しみ」。巨人木佐貫スカウトは「素材型の選手。カーブ、スライダーが効いていた。伸びしろがある」と評価した。

ブラジル人の父と日本人の母を持ち「まだ身長は伸びています」と193センチ、82キロの体格。長い手足をいかし、左足を高く上げるロッテ佐々木朗を参考にしたダイナミックなフォームで、ドラフト候補に名乗りを上げた。高校でも速球派が増えているが「気にしていません。しっかり指にかかった直球を投げたい」と意に介さない。スカウトのガンで、この日は最速137キロだった。

帽子のツバに「日本一」と自分で書いた。「夏はまず(東東京の)優勝。個人的には、全試合を1人で投げきることが目標」と頼もしかった。【保坂恭子】

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