岩手大会では2回戦で1年前の決勝カードが再現された。昨夏王者の一関学院が同準優勝の盛岡中央を9-1の8回コールドで下し、返り討ちにした。

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一関学院が昨夏決勝カードの再現となった一戦で圧倒し、2連覇へ好スタートを切った。打線は16安打9得点と爆発し、投手陣は3人の継投で1失点。3安打1打点の5番小野唯斗外野手(3年)は「チームもヒットがいっぱい出て、点数を取るところで取り切れて、なおかつ自分の結果がついてきて本当にいい試合だった」と胸を張った。

小野唯のバットが球場の空気を一変させた。3点リードの5回。先頭の4番梅田昇希内野手(2年)が左中間に大飛球、1度はソロ本塁打と判定された。だが、フェンスを越えたかどうかを巡って審議となり、試合が11分間中断。二塁打に判定が覆り、無死二塁から試合が再開された。

一関学院は1点を取り逃した形となったが、主将の原田大和内野手(3年)が梅田の打球について「ご飯1杯分の力が足りなかった」とベンチを和ませ、小野唯もリラックスして打席に向かった。そして「打ちごろの球を仕留められた」と初球の真ん中高めカットボールを、左翼線への適時二塁打に。後続にも2本の適時打が生まれ、リードを6点に広げた。

1年前の盛岡中央との決勝では、小野唯が決勝打を含む4打数2安打1打点で優勝の原動力になった。昨夏は大会を通じて大当たりで、仲間からは「夏男」と命名されたという。「県大会1試合1試合を大事に戦い、受け身にならず、挑戦者の気持ちでやりたい。個人としてはチームのためになる1本を何とか打ちたい」。一関学院の「夏男」が2連覇を果たすために打ちまくる。【山田愛斗】

▽花巻東が4年ぶりの覇権奪回へ7回コールド発進を決めた。初回に1点を先制されるも、2回の4得点で逆転。その後も着実に加点し、13安打11得点と打線が機能した。主将で4番の千葉柚樹内野手(3年)は「初戦で難しい状況だったが、まずは1勝できて良かった」。6点リードの6回には左前に2点適時打。「打球の質は良くなかったが、結果が出てくれて良かった」。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎内野手(3年)のすぐ後ろの打順で2安打2打点と躍動した。

▽盛岡誠桜が今夏から新調された水色のユニホームで公式戦初勝利を挙げた。昨夏敗れた水沢に雪辱し、2年連続で初戦突破。同点の9回1死二塁、松谷莉秀(りしゅ)内野手(1年)がカウント2-2から直球を捉え、左中間に公式戦初のサヨナラ適時二塁打を決めた。「3年生を勝たせられて良かった。次戦は守備もしっかり守って、打撃でもまた頑張りたい」と意気込んだ。