山形の二刀流が投打で球場を沸かせた。山形中央が鶴岡東に3-2のサヨナラ勝ち。最速147キロエース左腕・武田陸玖投手(3年)が、昨夏覇者を相手に7安打2失点完投。打っては1-2で迎えた8回2死で高校通算31本目となる同点ソロ本塁打を放つなど3安打1打点と大暴れした。

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ドラマの主人公さながらの活躍を見せた。3回を終えて0-2。だが、4回裏無死、自身の右越え二塁打で反撃ののろしを上げると、その回に1点を返した。8回2死の同点ソロは打球が左中間席に着弾するのを見届け、満面の笑みでダイヤモンドを1周。「とにかく負けないという気持ちで思いっきりバットを振っただけ。まったく覚えてない」。大歓声に迎えられ、「みんなに支えられている。あんなに応援してもらえるのは本当に幸せだなと感じました」と振り返る、記憶に残る1本となった。2-2と試合を振り出しに戻し、9回表のマウンドへ。最後の打者を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げた。その裏、勢いそのままにチームはサヨナラ勝ち。21、22年夏と2年連続で敗れた相手にリベンジを果たし「言葉が出ない。本当にうれしい」と勝利をかみしめた。【濱本神威】

○…2-2で迎えた9回2死二塁、サヨナラのチャンスに3打数無安打の石垣吏穏(しおん)内野手(3年)が打席に立った。ボール球を2球見逃し、空振り、ファウルで追い込まれた5球目。低めの変化球を左翼にサヨナラ適時打。石垣は「みんながつないでくれたので、1本出てよかった」と振り返った。

しかし、喜んだのは一瞬だけ。「うれしかったんですけど守備が…」。石垣はこの日2失策。8回、武田陸のソロ本塁打で同点となり迎えた9回2死から失策で走者を出すなど反省の多い試合だった。石垣は「チームが勝つことが一番。全員で戦った結果、勝ててよかった。次も頑張りたい」と反省を次戦に生かす。

 

○…東海大山形が九里学園に8-1の7回コールド勝ちで4強入り。2安打3打点の4番・高橋楓真主将(3年)は「しっかり打って、つないで点が取れた。次につながる良い試合だった」と振り返った。今大会は11打数6安打8打点と好調。「負けたら終わりの大会。悔いのないように『振る』と決めたらしっかり振り抜く」。4番の自覚を胸に、95年以来28年ぶりの夏の甲子園へと突き進む。

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