苦しんだ西武が6連勝ターンで前半戦を終えた。切り開いたのは、ベテラン栗山巧外野手(39)のひと振りだった。

2点を追う2回、日本ハム鈴木の初球を仕留めた。「甘めに入ってきたらという感じで」。イメージ通りに入ってきた球を、完璧に捉えた。反撃3号ソロ右翼席へ放り込んだ。

初回はアンダースロー右腕に幻惑されての3者凡退だった。嫌な空気をひと振りで入れ替えた。

「4番の仕事ができました」

歩きながらキリッと言って、言葉が続くかと思いきや、2秒の沈黙後には。

「笑ってくださいよ(笑い)」

上機嫌のベテランは自身でほのめかすように、元来、4番打者タイプではない。こつこつと、勝負強く、2000本以上の安打を積み重ねてきた。

難関の変則投手を打てるのも技術、経験に加え、人並み以上の準備があるからこそ。「集中していけたと思います」。その集中力の源泉が、準備にある。試合前、一塁側ベンチの前で素振りする。少しずつ牛歩のように進み、土のグラウンドでは轍(わだち)も作りながら、振って歩いていく。

揺るがぬルーティンで、そう簡単には追いつけない領域に達した。前半戦を終え、今年はまだ打率1割台。それでもこういう1発や、貴重な四球でベテランは存在感を示す。「迷惑かけてる部分もあるし…でも変わらず1試合1試合集中して、やっていきたいと思います」と巻き返しの後半戦へ準備する。

「若手、ベテラン、みんな力合わせて頑張っていきます!」

学生時代から栗山を尊敬するルーキー蛭間がお立ち台で「ジャパーン!」と声を張った裏で、その“憧れの人”も、元気に声を上げた。【金子真仁】

【動画】西武2年ぶり「4番」栗山巧ベテランの一発が反撃の狼煙に おかわり君もガッツポーズ