ドラフト候補が投げ合った注目の一戦は、享栄・東松快征投手(3年)に軍配が上がった。最速152キロ左腕は要所を締めて完封した。3安打、9奪三振の内容。スカウトの計測で最速は149キロだった。

「自分の力だけで並べた0ではなく、みんなのサポートがあったから。初戦は自分の力を出せなかったけど、調子は上がってきています。後半に強い投球を課題にしてきたので、7回からは気持ちを強く入れて投げました」

初回から3三振を奪い、2回以降も緩急を巧みに使う投球で走者を背負いながらホームは踏ませなかった。6回1死二、三塁のピンチも「完璧に抑えて流れをもってこようと思った」と4番、5番を抑えた。この回から左足がつりかけていたが、最後までマウンドを譲らなかった。

一方の愛知産大工・天野京介投手(3年)は8回3失点だった。初回に失策をきっかけに先制された。3回、4回も長打から失点した。初回から自己最速に並ぶ148キロを計測するなど、伸びのある直球と鋭いスライダーを駆使。5回以降は愛知NO・1右腕の力を発揮したが、4安打、6奪三振で降板した。「立ち上がりが悪くて流れをもっていかれた。東松君に勝ちたかった。ずっとライバルとしてやってきたので最後に勝てなくて悔しいです」と唇をかんだ。

監督同士が師弟関係にある両校は交流が深い。東松は「天野とは仲が良くて、昨日も連絡しました。お互い出し切ろう、どっちが愛知で1番の投手か決めよう、と言っていました」と健闘を誓い合っていたという。試合後の整列時、天野は東松に「絶対に甲子園に行けよ」と声をかけた。

享栄がハイレベルな投手戦を制し、最初のヤマ場を乗り越えた。【柏原誠】