5年ぶり12度目の夏甲子園を目指した中越は1回表に3安打を集めて1点を先制。3回にも2死一、二塁から7番村井克哉(3年)の左翼線二塁打などで3点を追加した。さらに7回、1死三塁から2番大矢一颯(3年)の右前打適時打で5-3とリードを広げ、終盤を迎えていたが、1点リードで迎えた9回裏に2死二塁から逆転を許した。
サヨナラ打の東京学館新潟・森田がヒーローなら、右腕に魂を込めた中越の野本壮大投手(3年)もヒーローに十分値した。5-4の8回裏2死二塁で尾身祐豪投手(3年)にマウンドを譲り、5-5となった9回裏2死二塁で右翼手から再登板。この日通算119球目のカットボールをサヨナラ打されたが、決勝までの6試合を30回1/3、459球投げた。最後のマウンドを野本に託した本田仁哉監督(46)は「野本で負けたのなら仕方がない。重いものを背負わせたが、立派なエースでした」と言った。
夏の甲子園出場11回を誇る中越のエースで4番。5-4で迎えた9回表1死満塁の打席では空振り三振を喫していた。サヨナラ打を打たれた瞬間は「終わった」という思いと「自分のせい」と役割を果たせなかった悔しさが交錯し涙したが、本田監督は言う。「練習の取り組み、立ち振る舞いから、中越の4番でエースはふさわしかった」。常連校も甲子園には18年以来、遠ざかる。野本は「自慢のできるチームだった。信頼できる仲間たちと甲子園に行きたかった」。精いっぱいの“激投”だった。【涌井幹雄】
▽中越・山井祐希主将(3年=9回表で追加点機に左邪飛)「9回(2死満塁)のチャンスで自分が打てず、悪い流れで(9回裏に)入ってしまった。先輩たちの思いも背負い、死ぬ気でここまでやってきた。悔しい。後輩たちにはこんな思いをしてほしくない。絶対に甲子園に行ってほしい」

