東京学館新潟が中越に6-5で9回、逆転サヨナラ勝ちし、創部40年目で初の甲子園出場を決めた。19年に続く2度目の決勝で初の頂点に立った。1点を追う9回裏、5-5に追いつき、なお9回2死一、二塁で8番森田蒼生遊撃手(2年)が中前に決勝打を放った。初優勝は08年新潟県央工以来15年ぶり。準々決勝で昨年V校の日本文理に9-8でサヨナラ勝ちと粘り強い戦いで「新時代」を切り開き、甲子園(8月6日開幕)に乗り込む。
打球が中前に抜けるのを見届けると、森田は右手を突き出すようにガッツポーズを作った。一塁を回ったところで駆け寄ってきた三塁コーチの鈴木健太(3年)と抱き合う。本塁上では二塁からサヨナラのホームを踏んだ近藤颯斗(3年)をチームメートが迎え入れ、歓喜の輪を作った。
「絶対に打ってやろうという強い気持ちだった」。5-5の9回裏2死一、二塁のサヨナラ機でスライダーをとらえた。0-4で迎えた5回裏には森田は先頭で投手強襲の内野安打を放った。それをきっかけに3得点。反撃の口火を切ったラッキーボーイが新潟の夏を締めた。
9回の打席に入る前、旅川佑介監督(41)に「やってきたことを信じて、みんなの思いを背負え」と声をかけられた。捕手の八幡康生主将(3年)にも「自信を持って打席に立て」と背中を押された。準決勝の北越戦、4打数無安打だった。決勝前日24日の打撃練習では強い打球を打つことを意識。寮に帰ってからも素振りをした。長野・南宮中から「自分が力になれば」と東京学館新潟に進学。最高の形でチームに貢献した。
「10点を取られても11点を取る。相手より1つでも多く本塁を踏む野球ができた」と旅川監督はナインをたたえた。打線は計6試合で72安打48得点。準々決勝では4大会連続出場を狙った日本文理に9-8で9回サヨナラ勝ちした。強敵に打ち負けずに勝ち上がったが、勢いだけではない。決勝は中越に先手を取られるが4、5回を3者凡退に抑えた後の5回裏に反撃。得点圏に走者を進められた8、9回の守りで無失点で切り抜けると、その裏に得点。守備で作ったリズムを攻撃につなげた。
就任2年目の旅川監督は優勝インタビューで言った。「長谷先生が作った東京学館、甲子園の土を踏むことになりました。長谷先生、おめでとうございます!」。東京学館新潟を35年間率い、21年夏で勇退した長谷和昭前監督(62)に送ったメッセージだ。それは創部から40年間、悲願を追い続けたOBへの感謝でもあった。
八幡主将は「“新時代”を作ろうとやってきた」と言う。09年から新潟の優勝校は日本文理、中越、新潟明訓の3校が占めてきた。東京学館新潟も19年、初の決勝に進出も日本文理に3-12で敗れた。チームの歴史を変え、風穴を空けたナインが聖地に挑む。「新潟の代表として東京学館新潟の野球をやりたい」と八幡主将。甲子園でも旋風を起こす。【斎藤慎一郎】
○…近藤颯斗二塁手(3年)が9回裏2死二塁の土壇場でサヨナラを呼び込む同点右前打を放った。ファウルで粘りながらフルカウントまで持ち込み、迎えた8球目。真ん中低めの直球をはじき返した。「次につなぐ意識で打席に立った」。代打で出場した8回裏は3球三振だった。「『あーっ』とは思ったけど応援の声を聞いて切り替えるしかないと思った」と1打席目の雪辱も果たした値千金の一打だった。
○…9回裏に4番手で登板した込山優気投手(3年)は「キャッチャーの八幡を信じて投げた」と満塁のピンチを無失点で切り抜け、サヨナラ勝利を呼び込んだ。先頭の9番佐久間にいきなり死球を与え、「ヤバイと思ったけど、八幡が声をかけにきてくれてリラックス出来た」。その後、1死満塁のピンチでは4番野本を見逃し三振、5番山井を左邪飛に打ち取った。その裏にチームは逆転し、込山は東京学館新潟で初の夏優勝投手になった。

