<高校野球和歌山大会:市和歌山5-4和歌山北>◇28日◇決勝◇紀三井寺運動公園野球場
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
◇ ◇ ◇
11回1死満塁。和歌山北・高瀬修瑚投手(3年)はサヨナラの左前打を見送るしかなかった。和歌山で一番長い夏が終わった。
左腕は11日の開幕試合に先発し、決勝で最後の1球を投げた。クールなエースは好守が出るたび派手に左こぶしを握り、仲間を鼓舞してきた。「頑張れました。最後までみんなと野球をできたのがよかったです」と穏やかに語った。
もともと和歌山北に野球部はなく、和歌山西との統合時に誕生。夏は6年間も勝てず18年に初勝利。今回もダークホースにすら挙がっていなかった。果てしなく遠かった甲子園だったが4強入りで少し形が見えたという。それでも高瀬は無欲を貫き、がむしゃらに6試合を戦い抜いた。「僕たちは弱小校と言われていた。そんな学校でも市和歌山さんとこんな試合ができるんだと思ってもらえたら」。後輩に残した確かな財産に胸を張った。【柏原誠】

