夏の甲子園が本来の形で開幕した。

4年ぶりに全選手が参加しての入場行進が実現した。

晴天のもと、注目される高校通算140本塁打の花巻東(岩手)佐々木麟太郎内野手(3年)らが晴れやかな表情で芝生を踏みしめた。昨年は新型コロナ感染や体調不良者が出た6校が、直前で参加できなくなっていた。

ベンチ入り枠は20人に増えた。初めて背番号19、20の選手が甲子園に登場。欠席者はなし。合計980人もの選手が晴れの舞台を楽しんだ。声出し応援、ブラスバンド、入場者などの制限はすべて撤廃。敗北チームは4年ぶりに黒土を自ら集めて持ち帰ることが許された。あらゆる光景が4年前までと同じだった。

一方で今大会から初導入された10分間の「クーリングタイム」は選手に大きな影響を与えた。開幕戦の土浦日大-上田西。5回終了時の休憩時間で選手はベンチ裏のスペースで体を冷やした。茨城大会では経験がなかった土浦日大の小菅監督は「ありがたい」と歓迎した。エース藤本はサーモグラフィーで顔面部分が真っ赤だったことに驚いた。送風機などで冷却しながらも「冷やしすぎないようにした。気持ちは絶対に切らさないようにした」と細心の注意で好投につなげた。

対照的に、再開直後の6回から両校とも足をつる選手が続出。コンディション維持の難しさを口にする声もあった。因果関係は不明だが、試合中盤に訪れる「10分間」の過ごし方は酷暑の甲子園を勝ち抜く上でポイントになりそうだ。【柏原誠】

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