12年ぶり3度目出場の英明(香川)はタイブレークの延長10回の末、智弁学園(奈良)にスクイズを決められ、サヨナラ負けした。

先発したサイド右腕のエース下村健太郎投手(3年)と左腕の寿賀弘都(すが・ひろと)外野手(3年)が交互に4度ずつ登板、7度も投手交代する継投策で戦った。10回1死二、三塁、最後の1球を投じた寿賀は「バッターを抑えることしか頭になかった」と想定外のスクイズに涙を流した。

香川純平監督(38)は継投について「バッターを見て、相性で起用した。策に走ったので反省が多い」と語り、敗戦を受け止めた。先発はセンバツも経験しているエース下村。「ここまで下村で勝って来たので、最後は腹をくくって行った」と送り出したが、なかなか本来の投球ができなかった。「いつもストライクゾーンに行くが、今日はボール先行で。死球も普段はないが今日に限って…」。活路を見いだすため小刻みな投手起用となったという。

「4番中堅」で先発した寿賀は3回に適時三塁打を放ち、投打で奮闘した。試合後は「やり切ったので悔しさはない」と話し、投げては最速145キロ左腕として「投手で勝負したい」とプロ志望届を提出することを明言した。その陰には、中学時代にバッテリーを組んだ1学年上の浅野翔吾(巨人)の存在がある。「プロの人はマウンドでの点を取られた後の態度とか立ち振る舞いを見てるからな」と激励が届いていたという。その浅野はインスタグラムで「すっごい試合」と試合配信を視聴する様子を投稿した。「陰で応援してくれている。今日の結果も報告したい」と寿賀は先輩の後を追って、プロの世界を目指す。【中島麗】

◆投手交代7度 英明は下村、寿賀の両投手を交互に登板させ、7度も投手を交代した。過去には30年松山商が諏訪蚕糸戦で山下、矢野の2投手を5度ずつマウンドに上げる交代9度、15年石見智翠館が興南戦でスタメン左翼手の田中を5度マウンドに上げるなど3人で交代9度の例がある。