仙台育英(宮城)が神村学園(鹿児島)を破り、2年連続の決勝進出。史上7校目の夏の甲子園連覇へ王手をかけた。

    ◇    ◇    ◇

熱血指導者の「熱い夏」が幕を閉じた。チームを初の夏4強入りに導いた神村学園・小田大介監督(40)は悔し涙を浮かべた。「この子たちともっと野球をしたかった…」。4点差の最終回1死一、二塁。最後の打者が二ゴロ併殺に終わり、「日本一」の挑戦は道半ばで散った。

どこまでも熱く生徒と向き合った。まるで「スクール☆ウォーズ」かのように。亜大時代に、高校ラグビーを舞台にした伝説の学園ドラマに出会った。「すごくいいなと思えた。すごく感銘を受けて、あれぐらい熱く生徒と向き合いたい」。それが指導理念になった。

1年時に左肘靱帯(じんたい)と神経の損傷で入院した背番号10の黒木。過酷な約3カ月のリハビリ生活を乗り越え、復活を遂げたが、新チームとなった昨秋でもベンチ外。焦り、不安から衝動的に、野球ノートに「(野球を)辞めたい」と書き記していた。指揮官は「親も含め、支えてくれた人の思いも考えないといけない」と熱い思いをぶつけ、踏みとどまらせた。

黒木は今夏に左のエースにまで急成長。夏の甲子園では全5試合で救援登板し、切り札的存在だった。小田監督は「黒木の成長なくしてここまで来れなかった。よく投げてくれた」と目を細めた。

夏では初の聖地4勝を手にした。「選手がたくましく成長してくれた。誇らしく思いますし、自慢の選手たち。『ありがとう』と伝えたい」。当初は「力のないチーム」と評していたが、その面影はなかった。ナインとともに胸を張って、甲子園を後にした。【佐藤究】