昨夏王者・仙台育英(宮城)が大技、小技を駆使して史上7校目の夏連覇に王手をかけた。

同点の3回に4番斎藤陽(ひなた)外野手(3年)が勝ち越しのセーフティースクイズを決め、6番鈴木拓斗外野手(2年)が今大会2号となる2ラン。投げてはエース高橋と湯田の継投で2失点に抑えた。23日は定期戦を行う慶応(神奈川)と日本一をかけて激突する。

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仙台育英が夏2連覇への挑戦権をつかんだ。並み居る強豪を破り決勝進出。須江航監督(40)は「100年開かなかった扉が開いて、その扉にもう1回自分たちが入っていくなんて奇跡中の奇跡なので、思い切り楽しんでもらいたいです」とナインの背中を押した。

機動力で流れを変えた。同点の3回。先頭山田が左前打で出塁し、直後に二盗。相手捕手の悪送球も重なり三塁に進塁した。1死後、斎藤陽が三塁へセーフティースクイズ。クロスプレーとなったが、山田が好走塁で生還した。2回の尾形の二盗も同点打につながり、須江監督は「序盤で足を絡めた攻撃ができると、いろんな伏線になるので理想的でした」とうなずいた。

1発もある。2点リードの3回1死二塁。2年生の鈴木がバックスクリーン右へ今大会2号となる中押し2ラン。「負けてしまうと3年生と野球ができなくなるので、1試合でも多く3年生と野球がしたいと思い打ちました」。昨夏、わずか1本だったチーム本塁打は、今大会最多を更新する5本に到達した。

優勝を争う慶応とは定期戦を行う間柄で、今春センバツ初戦でも対戦し、延長10回タイブレークの末に勝利。宮城大会前最後の練習試合の相手でもあった。その際に須江監督と慶応・森林監督は「甲子園で当たれたらいいですね。初戦じゃなくて決勝で」と誓い合ったという。

指揮官は東北代表として戦う姿勢を示した。「東北6県の皆さんや宮城の皆さん、東北に縁やゆかりのある方は、明後日の(午後)2時に西の甲子園の方向にパワーを送ってもらえたら」。運命に導かれた頂上決戦で王者の威厳を示す。【山田愛斗】

◆夏10連勝 仙台育英が夏の甲子園で昨夏から10連勝。夏の10連勝は15度目(10位タイ)。最近では13年大阪桐蔭が13連勝して以来。歴代1位は中京商(現中京大中京)の22連勝。

◆仙台育英は準決勝無敗 仙台育英の準決勝は春が01年宜野座、夏は89年尽誠学園、15年早実、22年聖光学院に勝っており、春夏通算5戦全勝。準決勝無敗の学校で既に史上最多となっていた連勝を伸ばした。

◆2年連続決勝進出 夏の前年優勝校が決勝に進むのは、06年駒大苫小牧以来17年ぶり11度目。過去は連覇7度、準優勝3度。中京商が31~33年に3連覇しており、仙台育英が連覇達成なら7校目となる。