【台北(台湾)8日=柏原誠、保坂恭子】日本が悲願の初優勝へ王手をかけた。

最速147キロ左腕&高校通算31本塁打の「投打二刀流」でプロ注目の武田陸玖投手(3年=山形中央)がプエルトリコ戦で今大会、初めて日本の4番に座った。「4番・指名打者」で出場し、初回の先制打を含む3打数2安打2打点と役割を果たした。前日7日の韓国戦では3番手で登板しセーブを記録。まさに二刀流としてチームに貢献している。日本はスーパーラウンド(SR)2位以内の通過が台湾とともに決定。9日のSR最終戦の直接対決を経て、10日の決勝で台湾と世界一の称号を争う。

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4番のプレッシャーを感じながら、武田は打席に入った。初回1死二、三塁、フルカウントから内角低めの変化球にうまく合わせて右翼線へ。先制の2点適時打を放ち、ベンチに向かって慶応でお決まりの3本指ポーズ。「とにかく1点を取りたかったので、結果は考えず、来た球を思い切り打とうと思いました。4番の重圧は感じたけど打席に入ったらいつも通りでした」。馬淵監督は「なんか打てる雰囲気ありましたね。(韓国戦まで4番の)森田が当たってなかったんで、思い切って武田で行くかと決めました」と明かした。

4番と告げられたのは今朝。「緊張して重圧も感じました」。グラウンドでのアップ中、チームを離れてベンチ裏へ。向かった先はトイレだった。気持ちだけでなく、体も緊張し、腹痛に襲われた。「朝、球場に来てからヤバかったです」。打撃練習は普通にこなし「試合に入ったら問題ありませんでした」と自らのバットでプレッシャーをはねのけた。

仲間との約束を守った。チームで二刀流として注目を集めているのが、武田と木村。山形中央と霞ケ浦で練習試合をしたこともあり、以前から親交のある2人だ。W杯の合宿を通じて仲が深まり「自分が投げるときはしっかり打ってくれよ」とお互いに約束。登板機会はなかったが、2番手として控えていた木村に得点をプレゼントした。

今夏の県大会では準優勝。3年間で甲子園に手は届かなかった。それでも、U18があったから練習を続けた。「レベルの高い試合ができているので楽しい。日本の高校球児を代表してきている。日本のため、日本が世界一になるために全力でやりたい」。武田の夏は、まだ終わらない。

◆武田陸玖(たけだ・りく)2005年(平成17)6月6日生まれ、山形県天童市出身。成生ファイヤードラゴンズで小1から野球を始め、小6ではNPBジュニアトーナメントの楽天ジュニアでプレー。天童四中から山形中央に進学。今夏は県大会決勝で敗れ、3年間で甲子園には届かなかった。目標とする選手はブルージェイズ菊池。174センチ、77キロ。左投げ左打ち。