悲劇的な幕切れだった。2点リードで迎えた最終回。同点に追いつかれ、なお一死満塁。打球が中堅手の前に落ちると、マウンド上の我孫子二階堂・神谷虎之介外野手(2年)は膝に手をつき、号泣した。
「もう野球辞めると思ってて」
高校は関東の強豪私立に入学したものの、1年の11月に退学。路頭に迷っていた時に声をかけてくれたのが、幼稚園からの幼なじみである鎌田粋匠内野手(3年)だった。鎌田の熱心な誘いによって、同校に再入学し、野球人生を再スタートさせた。
幼なじみがいるとはいえ、新しい環境に飛び込むことは不安だった。それでも「最初のバッティング練習の時に『神谷がいればこのチームは勝てる』とみんなが言ってくれて。そこから徐々に仲が深まった」。自分を受け入れてくれたことが何よりもうれしかった。感謝の思いを胸に練習を重ね、高校通算38本塁打、投手としては最速148キロを記録するまでの選手に成長した。さらに、三浦大地監督(31)が「彼を目指そうと思ってプレーするので、かなり影響があった」と話すように、チームにも好影響をもたらした。
学年は2年生ながら再入学のため、これが最後の夏。強い覚悟で挑んだ試合で敗れはしたが、投打で躍動した。
「楽しかったですし、このチームで良かったと思っています」
チームへの恩返しを誓った夏は短かったが、濃密だった。【水谷京裕】

