桐光学園・野呂雅之監督(63)は試合前ノックを終え、ベンチへ戻る途中、足元に違和感があった。スパイクで少しならす。
雨降りだった前日16日の試合前には、自らとんぼを手にし、ベンチ前をならしていた。もちろんグラウンド整備担当者が丁寧に整備しているが「試合前にはベンチ前でダッシュしたりもするし、ちょっとした土のあれで何かあったら嫌だしね」。
雨天による継続試合だった。そのノックで打ったのは普通の打球より、やや弱め。レギュラー陣が何度か打球をはじいた。気にしない。
「雨の次の日のグラウンド。それを確かめるノックだったので。ありがたかったですよね。今日のグラウンド状況を確認するためにいつも打っているので。その結果、ちょっとはねる可能性はあるかなと思って」
試合でも8回に遊撃手の鈴木がエラーをしたものの、その後はいい動きで併殺を完成させた。強力打線を誇りつつ依存しない。
「打てればいいですけど、夏の投手ってそんなに打てないんですよ。どんな攻撃をされても落ち着いて守れることを一番に考えて練習してきたので」
試合前には選手たちを集め、空を指さした。「太陽がどう見えるかをもう1回、確認しようって」。6回表、0-0からのスタート。どうしても攻撃に意識が行く中で、再度徹底させた。土も日光も風も、全てを確認して試合に臨む。
「夏は本当に何があるか分からない。特に近年はどの高校も本当に力をつけてきていますしね」。ここに猛暑も加わっている。野呂監督に限らず、経験豊富な指導者でさえ、その場その場に選手を対応させながら、現代の高校野球を戦っている。【金子真仁】

