元智弁和歌山の道端俊輔新監督(31)率いる鹿児島城西が悲願の初優勝へあと2勝とした。進学校の鶴丸に8-1で快勝し、ノーシードから2年連続の4強入り。高校時代は高嶋仁氏(78)の下、5季連続で甲子園出場を果たした新米監督。就任1年目から“高嶋メソッド”で鍛え上げる打線が11安打8得点で8回コールド勝ちだ。熊本大会は準々決勝の2試合が行われ、九州学院、熊本工がともに勝利し、熊本4強が出そろった。
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徹底したつなぎの打撃で、勝負ありだった。7-1の8回1死満塁。5番菊田康介内野手(3年)が右翼へ試合を決める一打を放った。7点差をつけ、コールド勝ち。初回から4イニング連続得点で波に乗り、終わってみれば11安打8得点。道端新監督の目尻も下がった。
「連打が出ていた。後ろにつなごうっていうことが良かったかなと思います」
この試合2連打2回、3連打1回と打線が線になる。さらに2回以降に放った9安打すべて単打。中前打が4本を数え、「センター返しの練習をずっとやってきた。ちょっとずつ成果が出てきている」とうなずく。現チームに1発の派手さはない。各打者が欲を捨て、コンパクトなスイングに徹する。
今年1月から同校に赴任。縁もゆかりもない新天地で人生初の指揮を執ることになった。影響を受けるのは甲子園通算68勝をマークした、あの名将だった。
「高嶋先生から教わったことを鹿児島で作りたい」
高校時代は智弁和歌山で、5季連続で甲子園の土を踏んだ。高嶋野球を学び、聖地を知り尽くしている。その経験をチームに還元。普段の打撃練習からマシンを160キロに設定。本来の18・44メートルから約3メートル手前の15メートル付近に置く。その意図を「スピードに慣れることもそうなんですけど、無駄なスイングがなくならないと当たらない。高嶋先生もその環境を用意してくれていた」。“高嶋メソッド”でナインを鍛え、夏初采配でいきなりの4強入りだ。
先制打を放った4番坂口虎太郎(こたろう)外野手(2年)は「スピードには慣れている。ボールが遅く見える時もある。いい練習です」と効果を実感する。
ノーシードから快進撃を続け、悲願の初優勝へ機運も高まる。「僕はやっぱり甲子園を目指しているので。1つ1つ進んでいくだけです」と道端新監督。足元を見つめ、一気に頂点まで駆け上がる。【佐藤究】
◆道端俊輔(みちばた・しゅんすけ)1993年(平5)4月24日生まれ、大阪・岸和田市出身。小学1年で野球を始め、土生中では「ジュニアホークス」で2年夏に全国大会優勝。智弁和歌山では1年夏から5季連続で甲子園出場。卒業後は早大-明治安田生命でプレー。22年オフに現役を引退。その後は大阪・興国で1年間コーチを務め、24年1月に鹿児島城西の監督就任。座右の銘は「不動心」。右投げ右打ち。

