札幌日大が夏初めての甲子園出場を決めた。立命館慶祥を6-4で退け、南北海道大会4度目の決勝で悲願の頂点に立った。1回2死二塁で4番窪田洋祐内野手(2年)が左前適時打を放ち先制すると、5回までに6点リードを奪って逃げ切った。06年7月から率いる“モチベーター”のOB森本琢朗監督(43)のもと「一戦決勝」を合言葉に、昨秋、今春と2季連続で札幌地区予選で敗退したナインは初戦から決勝のつもりで臨み、優勝に輝いた。

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札幌日大ナインが人さし指を突き上げ、マウンドに集まった。やっとできたナンバーワンポーズ。校歌を歌い終えてスタンドに向かってあいさつし「粘勝(ねんしょう)!」と叫んだ。ただ、過去3度、あと1勝で甲子園に届かなかったチームは、試合には敗者がいることも知っている。胴上げを断った森本監督は「選手たちの喜んでいる姿を見られたら十分。決勝で負けるつらさがすごく分かるので」とエスコンフィールド北海道のある地元北広島での優勝にほほ笑んだ。

立命館慶祥とは、練習中の声が聞こえるほどのグラウンドの近さ。喜びはひとしおも、切磋琢磨(せっさたくま)する札幌地区同士の相手へのリスペクトを忘れなかった。

2季連続で道大会進出を逃し、今夏ノーシードから駆け上がった。札幌地区予選1回戦札幌北戦(10-3)からチーム内で「一戦決勝」と言い合ってきた。全試合決勝戦。だから、この日は“7度目の決勝”。「いつも通り同じ」(同監督)と、気負いせずに本番に臨めた。選手のモチベーションを上げるのにたける指揮官は言葉の力を信じる。ミーティングで人気漫画「ONE PIECE」の主人公のせりふ「海賊王におれはなる」を引用したこともある。3度ホームを踏んだ高橋は「甲子園に『行きたい』ではなく『行く』と決めて、ずっと言い続けることが大切」と迷いはなかった。

決勝の壁を乗り越えるためなら何でもした。20年からメンタルトレーニングを本格的に始めるなど、勝つためのアプローチは積極的に取り入れた。21年には春全道初制覇を果たし、満を持して臨んだ夏は、決勝で8回に逆転されて涙をのんだ。今年こそ-。個人では毎日神社への参拝もするようになった。「やっと応援してもらってきた方たちにちょっと恩返しできたかな」と感慨を深めた。

87年創部から札幌日大として目指し続けてきた聖地に立つ。主将の菊地は「まずは感謝の気持ちを忘れないで、チャレンジャー精神を持って、やるべきことに集中してベストを尽くす」と誓った。完全燃焼ではなく、完全“粘勝”の夏はまだ終わらない。【保坂果那】

▼札幌日大が南大会初優勝を決めた。札幌地区から夏の甲子園はこれまで北海、北海学園札幌、東海大札幌、札幌第一、札幌南、札幌大谷、北海道科学大高、札幌開成中教高が出場しており、札幌日大は9校目となる。なお、札幌日大の所在地は北広島市で同市から甲子園は初めてとなる。

◆札幌日大 1987年(昭62)に創立された私立校。全校生徒数は1026人(女子490人)。野球部も87年に創部。部員数は62人(うち男子マネジャー1人)。主な卒業生は元DeNA水野滉也、元日本ハム片岡奨人ら。所在地は北広島市虹ケ丘5の7の1。浅利剛之校長。

◆Vへの足跡◆

札幌地区1回戦10-3札幌北

同2回戦7-0札幌月寒

同代表決定戦9-2東海大札幌

1回戦13-1札幌龍谷学園

準々決勝11-1札幌大谷

準決勝1-0北照

決勝6-4立命館慶祥

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