第106回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)に、9年ぶりに出場する白樺学園が28日、甲子園メンバーを発表した。
北大会はベンチ外でスカウティング担当を務めた3年生の阿部匠真内野手、佐々木悠成外野手、松本勇輝内野手の3人がベンチ入り。もやもや病による2度の開頭手術を経て、昨秋以来のメンバー復帰を果たした阿部内野手を含め、10人の3年生全員が、甲子園の登録選手に名を連ねた。
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校舎の玄関ホールに集まった全部員に向い、亀田直紀監督(37)が聖地のグラウンドに立つ選手を、矢継ぎ早に読み上げた。15番目に松本、17番目に佐々木、19番目に阿部と、北大会までベンチから外れていた3年生が呼ばれた。入学から一緒の10人の3年生が、全員、甲子園メンバーに名を連ねた。「勝つための戦力になってほしい」と指揮官。主将の藤原悠楽(ゆら)二塁手(3年)は声を詰まらせながら「これからも全員欠けることなく『最高の夏だった』といえるように」と力強く言った。
「甲子園の前にはメンバー交代がある。必ず優勝して、3人を甲子園に立たせる」。藤原主将の言葉を信じ、北大会でメンバー外となった3人は部を離れず、対戦チームのスカウティング活動を行ってきた。準決勝で対戦した旭川志峯のデータは、約3日間かけてプレゼンテーションソフトで15ページにまとめたという。
危機も乗り越えた。昨秋の大会に「9番三塁」で出場した阿部は、その後の練習中に倒れ、もやもや病と診断を受けた。詰まった脳の血管の血流を戻すため、脳と皮膚の血管をつなげる11時間の大手術を2度も受けた。「夏に間に合うか、焦った」(阿部)というが、病床に送られてきた「俺たちが甲子園に連れていく」というナインのメッセージ動画に励まされ、この日、本当の復帰を果たした。
北大会準決勝で5安打6打点の活躍をしながら、決勝で右ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂した久保翔馬内野手(2年)は、3年生のベンチ入りを亀田監督に進言、自ら登録を外れた。甲子園ではスコアラーを担当する。ほかに2年生と1年生が1人ずつスタンド応援に回る。阿部は「久保たちの分も、勝利に導くプレーがしたい。ホームランを打ちたい」と目を輝かせた。佐々木は目頭を真っ赤に染め、松本は真っすぐに前を見て、「甲子園でもチームのために貢献します」と誓った。【中島洋尚】

