夏の甲子園が、始まった。史上初めて午前と夕方に試合を分けた「朝夕2部制」を導入。午後4時開始の第2試合はセンバツ王者の健大高崎(群馬)が英明(香川)を1-0で破った。気温が下がった4回途中から救援した石垣元気投手(2年)が、プロスカウトのスピードガンで自己最速に並ぶ154キロを計測。力強い直球を軸に、打者18人を無安打に仕留めた。朝夕2部制は大会3日目まで行われる。
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午後5時、マウンドはもう日陰だ。相手投手を打ちあぐね、逆に4回表1死満塁と冷や汗級のピンチ。打たれたら流れは間違いなく英明に。ここでマウンドに上がった健大高崎の背番号1・石垣は燃えた。「エースとしてここはゼロで抑える」。粘られても根負けせず、併殺に仕留めた。石垣の叫びよりも、150キロ超でのどよめきが夕焼けの甲子園を支配した。
DeNAのスピードガンでは自己最速タイ154キロもマークし、そのまま9回まで被安打を許さず投げきった。本来のエース佐藤龍月投手(2年)が故障で戦列を離れた。「責任感を強く感じるようになって」。友の用具を持ち込み、ともに戦う。前夜寝る直前に届いた「明日、頑張れよ」のLINEもうれしかった。落ち着いてしっかり寝て、この日も開会式後、30分間しっかり仮眠した。
体や心の成長と、フォームの安定化がいいバランスで進行し「150キロ」の世界を2年生にして知った。投手指導が多い生方啓介野球部長(43)は「力の抜き具合を覚えたのも良かったですね」とし「1年後は160キロ近い球になってくる可能性もあります」と未来図を描く。
北海道・登別出身ながら「温泉はそんなに…」という暑がり。そんな石垣が「涼しかったです。次の試合もこれくらいの気温で」とおどけるほど、夕方の第2試合の恩恵にも後押しされた。「佐藤の分も自分が全試合投げるつもりです」。ヒーローになって20人近い記者に囲まれていると、ようやく頭皮に汗がにじみ始めた。【金子真仁】
◆石垣元気(いしがき・げんき)2007年(平19)8月16日生まれ、北海道登別市出身。小1で野球を始め、中学では洞爺湖シニアでプレー。今春センバツ、夏の群馬大会では背番号10だった。176センチ、71キロ。右投げ両打ち。
◆春夏連覇へ 史上8校目の春夏連覇を狙う健大高崎が初戦突破。センバツ優勝校の同年夏出場は22年大阪桐蔭以来48度目、初戦突破は32度目となった。
◆2年生の球速 今年のセンバツ準決勝で150キロを出している健大高崎・石垣が、スカウト計測で154キロを出した(球場表示153キロ)。甲子園の2年生では13年夏の安楽智大(済美=155キロ)に次いで2番目に速い。
▼広島高山スカウト 指にかかったボールはプロでも通用する、いい素材。制球の精度を上げるともっと評価が上がるはず。順調に成長している投手だね。
▼DeNA稲嶺アマスカウト あの体の大きさで、力感なく自然なフォームでスピードボールを投げられる。イニングによって、制球が乱れるのを、これからどれだけ修正できるかが、これからの1年の成長にかかっている。楽しみですよ。
▼巨人水野スカウト部長 これまでも見ていますが、だんだん良くなっていますね。来年は大注目の投手になると思います。

