「雑草軍団」の夏は2年連続で涙の幕切れとなった。金足農(秋田)が沖縄尚学に0-1で敗れ、昨夏に続き初戦敗退。それでも、右太もも内転筋の違和感で先発を回避したエース吉田大輝投手(3年)に代わり、マウンドに上がった2年生左腕・斎藤遼夢(りむ)投手が4回無安打無失点の力投を見せた。最速150キロ左腕・末吉良丞(りょうすけ)投手(2年)に3安打完封された打線も、薮田龍人外野手(3年)が2安打を放ち、気を吐いた。

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最後まで祈っていた。0-1で迎えた9回2死。2安打していた薮田は大きく息を吸いながら打席に立った。反撃を信じるアルプスからは「Gフレア」、ベンチから仲間の声が響いた。カウント1-2から末吉のフォークをフルスイング。バットは空を切ったが、振り逃げを狙い、全力疾走で一塁を駆け抜けた。

「自分もヒーローになりたかったんですけど、なれなかった。それでもヒットを打てたことはとてもうれしかった」。中学時代から吉田や主将の佐藤晃真内野手(3年)らと同じネオ・グリッターズでともに汗を流した。吉田からの「一緒に甲子園に行こう」の言葉に心を動かされ、ともに聖地と日本一を目指した。「最初は迷っていたんですけど、一緒にこの舞台でプレーできて、来て良かったと思います」。この2年半と最後の聖地をかみしめた。

背番号10の斎藤は前日5日の夕食後にこの日の先発を言い渡された。「いきなりだったので、めちゃくちゃ緊張しました」と言う一方で、「よく眠れました」とメンタルの強さを発揮。130キロ台の速球とスライダー、カーブのコンビネーションで相手に的を絞らせず、4回無安打無失点の快投を演じた。

「イニングの間に大輝さんから『ナイスピッチング!』と、声をかけてもらいました。期待に応えたかった」。18年準優勝メンバーの斎藤璃玖さんを兄にもち、この日アルプス席で応援にかけつけていた兄から「楽しんでこい」とエールをもらっていた。

「甲子園ってやっぱりいい舞台だなと思いました」と目を輝かせながら、「3年連続で甲子園にでるのが目標です。大輝さんのおかげでここまで来られたので、超えられるように頑張りたいです」と先輩たちの涙を目に焼き付けながら成長を誓った。

忘れものをとりにいくその日まで。聖地に立ち感じた喜び、悔しさ、手応え、全て背負って「雑草軍団」はまたひとつ大きくなって帰ってくる。【高橋香奈】

▽金足農・佐藤晃真主将(3年)「吉田に何回も助けられて、最後もなんとか自分たちでカバーしたいという思いがあったんですけど、悔しいです」