田村藤夫氏が韓国戦での石垣元気投手(健大高崎)のピッチングに注目した。最速155キロの真っすぐには一定の評価を与えたが、カーブとのコンビネーションに可能性を見いだした。
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球速ばかりが話題を集めてきた石垣だが、私はこの日の内容を見て、カーブの良さに驚かされた。と言っても、落ち着きを持って投げるようになったのは2イニング目から。2番手で登板した5回は2四死球で、非常に危なっかしい内容だった。
いいボールもあった。先頭に四球を与えた無死一塁。韓国の先頭打者相手に初球ボールから、3球続けてファウルされた後の5球目、155キロの真っすぐはいいボールだった。私の目にはストライクに映ったが、球審の手が上がらず、不運だった。
だが、その後も苦しいピッチングは続き、2死一、二塁で4番の右打者相手に、最後はこれも素晴らしい真っすぐをしっかりコースを突いて見逃し三振に仕留め、そこではじめて地に足がついたように見えた。
続く6回、目を見張ったのは2死走者なしから7番の右打者に対してのピッチングだった。余裕も出てきたのだろう。初球はスライダーでカウントを稼ぎ、続く2球目は落差の大きなカーブで空振り。しっかり低めに制球されており、腕の緩みもない。緩急をつけるには文句のないカーブだった。
2ストライクと追い込み、3球目は外角低めに真っすぐを正確に投げて見逃し三振。相手が7番打者ということは関係なく、このカーブと真っすぐの組み合わせで理想的な組み立てをしたところに石垣の可能性を見た。
低めに変化球を制球できる投手は強い。例えば、プロであるなら、フォークを低めに制球できる投手がそれにあたる。代表格は野茂だろう。フォークを低めに攻められ空振りした打者は、どうしても直後の低め真っすぐには手が出せなくなる。低めのフォークを振ったことから、低めへの過度な意識が反対に作用してしまうからだ。
石垣は、フォークの代わりにカーブと真っすぐという組み合わせに特長を感じる。精度を上げていけば中身のあるピッチングが期待できる。そう言えるほど、このカーブはキレがあり、低めにしっかり制球されていた。
立ち上がりは非常に不安定だったが、このカーブが石垣にゆとりを持たせたと言える。3イニングも投げるとは思わなかったが、これで本人もやれるという自信をつかんだのではないか。逆に言えば打線がまだ本調子でない中、接戦の韓国戦で腹をくくってマウンドに送ったベンチの判断も大きかったように感じた。
最後に、蛇足になるが逆転され1点を追う2回1死二、三塁。ここで追い込まれながら、難しいボールを何とか一、二塁間に飛ばした坂本慎太郎(関東第一)のバッティングは非常に大きかった。あの場面で確実に同点に追い付いたことが、その後の追加点につながったと言えるだろう。試合を分けるバッティングだった。(日刊スポーツ評論家)

