青学大(東都大学)が初の決勝進出を果たした立命大(関西5連盟第2)を4-0で下し、史上6校目の大会連覇を果たした。
中日1位の中西聖輝投手(4年=智弁和歌山)は元巨人の江川卓氏(法大)らに並ぶ大会歴代3位タイの17奪三振の快投を披露し、9回127球の完封勝利。エースにふさわしい内容で大学最後の登板を飾り、来春からのプロ挑戦に弾みをつけた。高校の部は九州国際大付(九州・福岡)が11-1で神戸国際大付(近畿・兵庫)を下し、春夏甲子園を含め初の日本一に輝いた。
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涙を笑顔にかえた。中西は大学入学後、初めて優勝投手に輝き「(捕手の)渡部(海)と抱き合った瞬間は達成感があふれた。頑張ってよかったと思いました」。ガッツポーズが4年間の集大成を象徴していた。
初回から丁寧に投げ込んだ。「相手が真っすぐを張ってきていたので今日は変化球主体の投球にした」。初回をフォーク、カーブ、そしてフォークで3者連続三振で滑り出すと、その後も変化球で奪三振ショー。8回1死二塁からは5者連続で、計17奪三振の2安打完封勝利。三塁を踏ませぬ圧巻で締めくくった。
この秋のスタートは涙だった。2年連続の大学4冠を目指したが、6月の大学選手権準決勝の東北福祉大戦は先発で4回1/3、9安打6失点で敗戦。寮に戻ると投手ミーティングで「ごめん…。悔しい…。秋は絶対にピッチャー全員の力で優勝しよう」と涙した。何がダメだったのか。答えは、自分のストライクゾーンを広げること。「ちょっと外したところに投げ込む真っすぐの質、変化球は真っすぐの軌道からギリギリで落とす。空振りが取れる質を求めました」。
四球は怖がらない。アウトコースギリギリ、そして低めに集める。同じカーブ、フォークでも違う曲がりで打者を翻弄(ほんろう)する。「見逃せばボールになるけど、そこにちょっと、あ! って思わせるボールを投げることで振ってくれる」。練習ではいつも打者を立たせ投げ込んだ。「イメージ通りに投げられたら8割くらい空振りがとれる。それが僕の長所」と磨きをかけた。「僕の投球の幅を広くしてくれたのは打者です」。今では春の敗戦を笑顔で振り返られる。
負けず嫌いが成長を後押しした。「春が終わって、負けたくない、勝ちたいという気持ちで何倍も強くなった」。原点は幼少期。5歳上の兄、龍一さんの影響で野球を始めた。「いつも『お兄ちゃんはできてたぞ』と比べられた。兄貴には負けたくない。何でも1番を取りたいと思うようになりました」。兄に追いつくには練習しかない。父あざみさんとのキャッチボールでは構えているところに投げられなければ、自分でボールを拾いに走った。「育った環境が今の野球に生きていると思います」と感謝する。
父に「絶対にやめへん。やりきる」と約束して野球を始めた。コツコツと練習を重ね、大学頂点をつかんだ。
「これからも反骨心をもって、チームに勝利を持ってこられる投手になりたい」
自信をもって、プロの世界へ踏み出す。【保坂淑子】
▽青学大の連覇を見届けた、ヤクルトのドラフト1位、法大・松下歩叶内野手のコメント「強いなと思いました。(中西は)同じリーグなので打たないといけない相手と思っています。対戦が楽しみです」
◆中西聖輝(なかにし・まさき)2003年(平15)12月18日生まれ、奈良県橿原市出身。小1で橿原ドラゴンズで野球を始め、光陽中では橿原磯城シニアでプレー。智弁和歌山では1年、3年夏の甲子園出場。3年時は全国制覇。22年3月に右肘のトミー・ジョン手術を受け青学大2年春にリーグ戦デビュー。25年春秋MVP。最速152キロ。50メートル走6秒7。遠投110メートル。182センチ、92キロ。右投げ右打ち。

